世界選手権直前企画日本代表選手コメント(1)
末續慎吾
(東海大・200 m&4×100 mR)
『世界選手権は150mまでが勝負と考えています。練習のタイムは気にしない方ですが、けっこう満足してます』

※富士北麓の陸連合宿で取材(7月16日)
「(シドニー五輪前の練習と比べて)ペース自体、一段階上がっていると思います。あんまり上げ過ぎてもこなせないので、9割くらいで何セットかとか。最近は、その中でもこなせるようになってきました。(昨日、合宿の練習で)200+120を5セットやって、4セット目で20秒台が出ました。藤本さんも21秒台前半。どちらかというと、練習のタイムは気にしない方ですが、けっこう満足してます。“いいな”、という感覚です。200 mは直線50m、コーナー100 m、直線50mで、中にコーナーを入れているので、スピードはそんなに上がらないかなと思ったんですが、出てますね。春先とはひと味ちがいます。
 カーブを多くやっているのは、世界選手権は150mまでが勝負と考えているからです。ラスト50mは練習量でなんとかカバーしようと。(カーブの100 mは)基本的には10秒3とか4です。僕の場合、試合にならないとパッとしませんね。大阪GPでは10秒1でした。
 やっぱり前半で勝負しないといけない、という気持ちがあります。やられて嫌なことを、外国選手にやってやろうということです。シドニーでは勢いでなんとか準決勝まで行きましたが、準決勝では前半で5〜6人に行かれてしまって、『あーもう』と思った瞬間、ダメでした。シドニーでは前半を上げ切れませんでした。それだけの筋力もなくて。今年は去年までとは全然違います。
 19秒台は、(これをやればいいという)答えはなさそうなので、自分のやってることを突き詰めるしかなさそうです。もう少しかな、という感覚はあります。練習ではモチベーションになってますが、レースでは記録よりも勝負です。今年は、勝負の方かなと。
 今回、1次予選は力を使わないようにしたいと考えています。1次までは身体を“ダルダル”にしておいて、1次を刺激にしようかと。東アジア大会は予選を流してA標準(20秒72)だったので、世界選手権でも大丈夫じゃないかと思います。
 昨年はスーパーの前で練習を落とし、スーパーで(調子を)上げて、そのあとキープしたんです。今回の方が楽ですね。直前まで(練習を)上げておいて、この合宿が最後なんですが、あとは一気に抜いて臨みたいと思います」

日本代表選手コメント(2)
土江寛裕(富士通・100 m&4×100 mR)
『10秒1台を3連発したい。この4年間で、地面を押し切って進む動きを獲得できたと思う』

※南部記念のレース後に取材(7月8日)
「アテネ(97年世界選手権)は2次まで行っていますから、少なくともそれ以上は行かないと“何してんだ”って言われてしまいます。筋力は間違いなく上がっています。テクニックは新しいことを、自分なりにアレンジしてやっています。97年と比べたら進歩しているはずです。頭の中では特に、です。
 本番では10秒1台を3連発したいと思っています。自己記録が10秒25で言うのは恐れ多いのですが、そのくらいをやらないと認めてもらえませんから。
 (4年の間に)中盤で接地した際、(地面を)押し切って進む動きを、自分の中で獲得できたと思います。外国選手のやっている動きを見て、参考にしました。結果的に、地面をしっかりなでるようにして、(身体が)浮いてしまわないようにするわけです。伊東(浩司)さんが特にうまいんですが、(留学していた)オーストラリアの選手もやっていました。伊東さんは最後までそれができるんですが、僕の体型では最後まではできないので、別のテクニックを使わないとダメなんです。
 レースでもこの動きを意識して走っていますが、できないときもあります。去年の南部は、(意識が)真っ白で頑張っただけ。99年の日本選手権で10秒09(追い風参考。優勝)を出したときは、区間区間でコントロールしながら走れました。
 このあと、世界選手権に向けては気持ちだけです。代表になったことで満足せず、ピークを8月に合わせたいと思います」

日本代表選手コメント(3)
岩水嘉孝(順大・3000mSC)
『日本選手権は勝負優先であのタイムでしたから、予選は通れるはず。混戦に対応するために――』

※実学(6月24日)と学生種目別選手権(7月14日)で取材
「今日(実業団・学生対抗)のレースはハードルの練習が目的でした。1台目だけ足を(ハードルに)かけましたが、あとは両脚で(かけずに)跳ぶようにしました。練習ではなく、レースでやっておく必要がありました。左脚(の踏み切り)が得意なんですが、今日は左右を意識しないで、合った方の脚で跳びました。特に意識せず、いい感じで跳べたと思います。
(世界選手権は)3000mSCで結果を残さないと、後につながらないというか…。大きい大会には強い方だと思います。プレッシャーには強いんです。予選でベストの走りができれば、通るだろうと仲村(明)監督とは話しています。日本選手権は勝負優先であのタイム(8分26秒77)でしたから、予選は通れるはずだと。
 予選通過が最大の目標ですが、どんなレースになるのかは、想像もできません。外国人の強い選手も、いつも安定して強いわけではありません。持ちタイムがよくても、一緒に走ったらわからないと思います。ケニア選手はスピードのアップダウンが大きいようですが、走力があれば対応できると思います。混戦になっても対応できるように、今日、逆足をテストしてみたわけです。目標とする大会ですから、出し惜しみせず、きっちり走ってきたいと思います」

日本代表選手コメント(4)
高岡寿成(カネボウ・長距離)
『今回はタイムを追いかけた方が、逆にいい結果が出る。5000mを13分30秒台で通過するかどうかは――』

※日本選手権(6月9日)とサンモリッツ(7月1日)で取材
「僕はもう、経験を積んでいく段階ではないので、いかに本番に合わせた走りをするかが求められていると思います。ただ、去年(シドニー五輪)が7番だったから今年も、と上手くいくかどうかは、わかりません。(ゲブルセラシエが前回優勝者枠なので)エチオピアが4人出られますし。今回は、(入賞にこだわったシドニー五輪とは変えて)順位を気にせずタイムを追いかけた方が、逆にいい結果が出ると思います。
 今年は1万mで日本新を出すのがトラック・シーズンの狙いです。5月にアメリカで(27分35秒09の日本新を)出すことができましたが、ヨーロッパ遠征も、そして世界選手権も日本新が目標です。もうちょっと、記録を出せると思っています。ただ、予選で落ちるのは避けたいと思っていますが。
 プラハは27分30秒のラビットが用意されていて、5000mの通過が13分47秒でした。去年(27分40秒44の当時の自己新を出したシドニー五輪決勝)は13分45秒。5月のアメリカ(日本新)は13分42秒。(世界選手権の1万mで5000mを)13分30秒台で通過するかどうかは、練習の調整段階で決めます。何日前のどの練習で、というのではなく、練習の色んな要素を見て、監督・コーチと相談しながら決めます」

日本代表選手コメント(5)
藤田敦史(富士通・マラソン)
『タイムや順位でなく、勝負をすることが一番の目標。ペースメーカーがいないレースなので――』

※成田空港で取材(7月27日・写真
「具体的なタイムや順位の目標は立てず、レースに参加すること、勝負をすることが一番の目標です。見せ場を必ず作りたい。自分の力を試すための勝負をしたい。(展開は)誰かが作ったペースに付いていって、後半で勝負をすることになるでしょう。下りと上りがあるあたりがポイントになってくると思いますが、下りで仕掛けても、距離的にはまだ半分ちょっとなので、後半つかまる可能性が高いと思う。僕の予想では、下って、公園を周回して、上り切ったときに誰かが仕掛けるのではないかと。でも、その考えに縛られると、先に仕掛けられたときに対応できなくなってしまいます。「そんなものかな」と、頭に入れておく程度にとどめたいと思います。
 集団の中での位置取りは、重要になってくると思います。福岡(日本最高2時間06分51秒をマークした昨年12月の福岡国際マラソン)で位置を変えたのは、自分は気分屋なんで同じとこを走っているのが嫌いだからです。路面に合わせて位置を変える必要もありました。世界選手権はペースメーカーがつきませんし、リズムを崩す選手が多いと思います。接触や給水での転倒なども、気をつけないといけないと思っています。
 リズム的に、誰かの後ろだと走りやすいということはありません。黒人選手で体臭がきつい人もいるので、そういう選手の後ろでは走りたくない、というくらいで。
 (夕方のレースは)起きてからずいぶん時間があるわけですが、気持ち的には「やるんなら早くやろうじゃないか」というところです。練習では、今回朝と晩に練習をやってきて、ポイントは夕方にやっていたので、問題ありません。
 今回の世界選手権は最終目標として結果を求めるのでなく、アテネにつながる走りにすることなので、(本番が)楽しみっていうより、いい勉強をしたいと思ってます。そういう意味では、ワクワクしている部分はあります」

日本代表選手コメント(6)
室伏広治(ミズノ・ハンマー投)
『絶好調を想定しても意味がない。大接戦を純粋に楽しみたい』

※ミズノ壮行会(7月9日)の取材とプレスリリース(7月14日)から抜粋
▼ミズノ壮行会での記者会見から抜粋
Q.今の力を最大限に発揮できれば、勝つチャンスはあると思っている?
A.まず無理でしょうね。絶好調なんて、めったにないことですから。年に数回しかない。大阪GPは絶好調でした。ほぼ自己記録(82m59。当時の自己記録は82m60)でしたから。ローマ(ゴールデンリーグ)は接戦にたまたま勝っただけ。絶好調を想定しても意味がないんです。予定通りにはいかないことになっています。計画通りに行くとは限りません。ただ、ローマの接戦の中で戦ったのは、大事なことだと思います。
Q.世界選手権では大阪GPの調子を再現させようとやるわけですか?
A.そういうつもりはありません。身体は同じようにはいきません。その時期に合うものをやりたいと思います。
▼83m47のアジア新、今季世界最高をマークした7月14日にミズノから出されたプレス・リリースから抜粋
「世界陸上までは、冬からずっとやってきたことを今までどおり、今までのやり方、方法でやっていき、本大会を迎えたい。本大会は大接戦になるでしょう。それを純粋に楽しみたい。そのために厳しいトレーニングを日々積んでいる」

日本代表選手コメント(7)
綾 真澄(中京大・ハンマー投)
『雰囲気に飲まれずに自分を出せるかを試してきたい。最低でも60mを』

※学生種目別選手権(7月15日)で取材
「(世界選手権までに)自分でできることがちょっとあるんです、技術的に。ウエイトも継続してやっていきます。今日(学生種目別選手権)は右足のキャッチが遅かったんですが、右足が接地したとき(ハンマーを)より右の方に残すことができれば、いい感じで投げることができるんです。
(世界選手権は)初めて出る舞台ですから、私としては勉強の場です。出て、何かきっかけをつかんできたいんです、これからの課題となるものを。最低でも60mを、最高なら自己新を出せたらいいんですが、雰囲気が(他の試合とは)違うらしいですからね。その中で、雰囲気に飲まれずに自分を出せるか、試してきたいと思います」

日本代表選手コメント(8)
池田久美子(福島大)
『予選通過ラインの6m80を目標に』

※学生種目別選手権(7月14、15日)で取材
「日本選手権の(走幅跳の)ビデオは毎晩、見ています。ビデオを見てイメージを焼き付けて、身体に感覚を覚えさせようという狙いです。実際に跳んだとき、どういう(動きの)流れで跳んだのかわかりませんでしたが、ビデオを見ることでチェックができます。細かい部分ですが、足の着き方、脚の振り出すバランス、助走の流れ、踏み切りのバランス、着地などです。
 世界選手権まで、もう一度追い込んだ練習をする予定です。スプリント中心の練習です。走ったり、ウエイトしたりして追い込み、そこから助走につなげたいと思います。
 世界選手権は初めての世界大会で、大会前に3番になりたいと言っていましたが、まさか本当になれるとは思っていませんでした。ある面、気楽なところがあったと思います。今回はもっと大きな大会ですから、挑戦するだけです。でも、ちょっと欲張って日本新を狙っていきます。予選突破ラインが6m80くらいになると思うので、それを目標にしたいと思います。
 世界選手権の具体的なイメージは、特にありません。ビデオで見ることはありますが、『あんな観衆の中でやるんだな』くらいのイメージです。日本選手団のなかで一番年下なので、お兄さんお姉さんたちの経験を聞きながら、勉強してきたいと思います」