2013/5/25 関東インカレ3日目
ルーキーの毛呂、大学初タイトルもサブ種目の走幅跳
「走幅跳の練習もして動きを把握できるようになった」と自己記録を15cm更新

 大学初タイトルもサブ種目だった。
 1部男子走幅跳は毛呂泰紘(順大1年)が3回目に7m74(+0.6)と自己記録を15cm更新する快ジャンプで1回目に7m67(−0.8)を跳んだ高政知也(順大2年)を逆転。6回目に7m69(−1.2)に記録を伸ばした嶺村鴻汰(筑波大3年)も抑え1年生Vを達成した。
 1、2回目は「初めてのインカレで緊張して」連続ファウル。窮地に立たされたが、「動きは良かったので3回目はうまくコントロールする」ことに成功した。他の選手が向きが変わる風に苦しめられたのに対し、毛呂だけが風を利することに成功した部分もあった。

 高校時代から棒高跳と走幅跳で全国大会まで進出した珍しい選手だが、練習は「走幅跳は月に2回程度」と、ほとんどを棒高跳用に行なっていた。
「走幅跳は踏み切りをイメージしておくように先生から言われていましたが、そのくらいです」
 その取り組みでも全国大会でタイトルを取ったのは走幅跳だった。昨年の全国大会の成績は下記の通り。
インターハイ  棒高跳3位・5m10、走幅跳1位・7m53(±0)
日本ジュニア 棒高跳5位・5m00、走幅跳1位・7m59(+0.5)
国    体   棒高跳5位・4m80、走幅跳3位・7m39(−0.4)

 自己記録は棒高跳がインターハイの5m10、走幅跳がジュニア選手権の7m59だった。
 15cmの自己記録更新ができた理由を、「走幅跳の練習をするようになって、動きを把握できるようになったから」と自己分析した。

 今も「メイン種目は棒高跳」というのは変わらないが、順大に入って「どちらも狙っていけるので、両方練習をしよう」というスタンスに変更した。
「棒高跳が週に2日、走幅跳が1日、残りの3日が走りとウエイト」というのが、現在のトレーニング配分である。ウエイトトレーニングでは棒高跳を意識しているが、走りの練習はどちらかの種目の助走を意識しているわけではない。
「接地などを意識して、走りは走りとして練習しています。今年の最初に走り方を変えて、地面からの反発をより受け取ることができる走り方にしました。それで、どちらの種目も伸びています。どちらにも使える走りをすることで、結果的にスプリント自体も速くなっている」
 ちなみに現時点の100mは10秒98、200mは21秒73(追い風参考で21秒59)がベスト。200mの方がレベルが高いのは、リラックスした走りということだろうか。

 100mと200m、5000mと1万m、あるいは砲丸投と円盤投という“隣り合った2種目”ではない組み合わせ。一般メディアなら、投手と野手をこなす日本ハムのルーキー大谷翔平選手になぞらえて“二刀流”とキャッチコピーをつけるだろう。毛呂自身はその点をどう意識しているのだろうか。
「テレビはあまり見ないので、(大谷選手が)世間でどのくらい騒がれているのか知りませんが、野球であれ陸上であれ、同じ世代の人が活躍すると“負けられない”と思います。自分としては1種目にこだわる必要はないと思っているので、どちらも目指していきます。陸上競技の二刀流と言われるように頑張りたいですね」
 棒高跳のタイトルを取るときまで、“二刀流”の見出しは取っておこうと思う。


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