2010/11/20 第212回日体大長距離競技会
長谷川が28分07秒47の自己新&今季学生最高
1度の
65秒台ラップが27分台の障壁になるも…

 長谷川裕介(上武大4年)の27分台を阻んだのは、一度あった65秒台のラップだった。
長谷川の400 m&1000m毎通過&スプリット

 序盤から必ずしも一定しなかった400 m毎のラップだが、3000m過ぎからは66〜67秒台が続いていた。それが68秒台に落ちたのが5200m。5600mまでは67秒台に持ち直したが、その次の周回が遅くなったのだろう。5800m付近でペースメーカー役のカロキ(エスビー食品)、メスフィン(カネボウ)の前に真壁剛(カネボウ)が出て引っ張り始めた。
 それでスローになったことに気がついたのか、6000mを過ぎてカロキが再度先頭に立つと、6400mまでを65秒台にペースアップした。カロキについたのは長谷川1人だけ。ラップは66秒台が2回続いたが、その後は67秒台、68秒台と落ちていたが、長谷川は8000mを過ぎて後れ始めた。
 優勝したカロキが27分46秒19、2位の長谷川は28分07秒47。昨年のこの大会(11月21日)に出した自己記録の28分13秒92は更新したが、狙っていた27分台は出すことができなかった。
「カロキのペースに乗れなかった自分の力不足を感じます。花田(勝彦)監督からは27分台を狙っていこうと言われていました。監督は僕の力を見抜いてくれる。それを発揮できなかったのは僕の力不足です」
 自分を責める長谷川だが、65秒台への急激なペースアップがなかったら27分台が出ていた可能性もある。

 花田監督によれば「調子は6、7割。7000mか8000mでへばることも予想していました。予選会のあと、11月上旬まで言い練習ができ、その後落としたときに疲労が出てしまいました」という。
 長谷川は失敗した要因として、3日前にハムストリングがつってしまい、その後の練習の量を落としてきたことを挙げた。
「そういう意味でスタミナ不足。いずれにしても今日はこのくらいだったと思います」と、65秒台のラップに対し、恨みがましい言葉はひと言も発しなかった。

 ただ、65秒台に上がったときにどうだったのかを質すと、「酸欠になったのか、頭の中が砂嵐になりました」という。走りもそれを境に崩れてしまった。
「前半は腹筋と背筋を上手く使って腰を入れて走ることができました。しかし、後半は跳ねた走りになってしまった。65秒台で行った後からですね」
 そう言ってから、次のように付け加えた。65秒台で走ったことをマイナス要素と考えたくなかったのだろう。
「(65秒台のとき)これ以上行ったらうち上がると思いましたが、今年はチャレンジすることを考えていました。去年(28分13秒92)は流れに乗せてもらってのレースで自信につながらなかったんです」

 日体大の特徴である無風状態の好コンディションだったが、今回のレースは前半も周回毎に1秒前後のプラスマイナスが生じ、完全なイーヴンペースとはいえなかった。長谷川は自身の力不足と前向きな姿勢を強調するが、客観的に見て65秒台がなかったら27分台は出ていたように思える。


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