2009/11/29 東レ上海マラソン
A男子フルマラソン
アスファが2連勝
序盤と後半のペースが遅かった理由は?

「最初の5kmが難しかったけど、あとは難しくなかった」
 初めてマラソンのペースメーカーを務めたワウエル(富士通)の感想だ。
 主催者側から指示されたペースは5km毎が“15分15秒±10秒”だった。実際のペースは以下の通り。
5km    15分35秒
10km    30分47秒(15分12秒)
15km    45分48秒(15分11秒)
20km 1時間01分07秒(15分09秒)
25km 1時間16分24秒(15分17秒)
 最初の5kmが設定よりも20秒遅れてしまったが、これはペースメーカーだけの責任ではない。その遅いペースに先頭集団がついてこなかったのだ。5kmでは「10mは離れていた」とワウエル。設定通りに走るべきか迷ったとしても責められないだろう。

 トップ集団がワウエルにつかなかったのは、思ったよりも肌寒かった気温と、マチャリア(ケニア)の動向が影響した。2時間07分16秒の記録を持つマチャリアは、左脚ふくらはぎに痛みがあり、「スピードを上げると気になった」という。
 前回優勝のガショー・メレッセ・アスファ(エチオピア)が、ペースメーカーよりもマチャリアのことを気にしたのではないか、という質問に対し、マチャリアは次のような答え方をした。
「アスファと2人でレースをつくる雰囲気はありました」

 集団がワウエルに追いついたのは「12km付近だった」とワウエル。アスファ、ワウエル、ロバート・チェボロア(ケニア)の4人。そこからアサファが抜け出したのが15km付近だった。最初の5kmが遅かったのは、寒さも影響していたかもしれない。アップ場所が狭く、日本選手たちは「アップが思うようにできなかった」と話していた。
 しかし、走っているうちに体は温まり、力のある選手はリズムに乗ってくる。
「ペースがスローに感じてきたので1人で走ることにした」と感じたアサファが、ペースメーカーがいる段階で飛び出した。15kmまでワウエルのペースは決して遅くないし、設定内できっちりと走っている。それを遅いと感じたアサファが好調だったのは確かだろう。

 しかし、優勝記録は2時間10分10秒にとどまった。
「2時間8分前後を目標にしていたが、今年は風があったし、寒かったのでタイムが伸びなかった」
 アサファが終盤にスタミナ切れを起こした可能性もあるが(5km毎の通過タイムが不明)、日本選手たちも向かい風だったと口にしていた。
 記録は低調だったが、アサファの強さはアピールされた大会だった。


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