2008/10/26 日本選手権リレー
男子4×400 mRは筑波大
4走・石塚の逆転は再起の意思表示


 日本選手権リレー最終種目、男子4×400 mRは大混戦が続いていた。記録的には望めない状況だったが、勝負としては見ている者に手に汗握らせた。最後は筑波大、関学大、順大の争いとなったが、筑波大アンカーの石塚祐輔(3年)が、ラストの直線で外側から抜け出て3分08秒57で優勝した。筑波大(清田将史・渡邊諒・伊藤森太郎・石塚祐輔)の優勝は2年ぶり。

 石塚は日本選手権で3位。故障明けということもあり、その走りができたことだけで感激の涙を流した。しかし、1位の金丸祐三(法大)と2位の安孫子充裕(筑波大)が北京五輪代表に選ばれたのに対し、3人目の代表は1週間後の南部記念まで選考が持ち越された。そこでは堀籠佳宏(富士通)に敗れて2位。4×400 mR代表は堀籠1人が追加され、4人目は400 mHの成迫健児(ミズノ)が走ることになった。
 金丸は高校時代に200 mで名勝負を演じた同学年のライバルであり、安孫子は大学の1年後輩。ともに、北京の世界ジュニアで4×400 mRを走った仲間だった。

「北京は僕にとって、世界ジュニアでバトンを落とした特別な場所。絶対に行きたいと思っていたんです。南部の後に気持ちが切れて、陸上は今年でやめようとまで考えていました。そのときに大学のメンバーが…(涙があふれてきて)嬉しいのに、なに泣いてるんだろう。思ったより走れなかったんですが、全カレでやっと走れるようになって。走りたい気持ちが強くなり、自分が居るべき場所はここだと思えました。日本選手権リレーは(出場は)どちらでも良いと言われましたが、自分から出たいと言いました。どんな順位でバトンを託されても、絶対に1位でフィニッシュしようと。信じられている分、信じている分、トップでフィニッシュしたかったんです。本当に嬉しいです」

 石塚のラップは「46秒1か2」(谷川聡コーチ)だった。完全に復調したとはいえないが、まだ3年生。100 m・200 mのインターハイ優勝者だが、大学入学後に400 mをメイン種目に変更した。適性があると師弟が判断しているからに他ならない。
 今後の動向を注目すべき選手であることは、今回の走りで改めて示した。


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