2008/7/31 埼玉インターハイ
男子走幅跳特集B
入賞8選手の助走距離と歩数、100 mベスト記録は?
5年前の“長崎IH世代”と比べたときの特徴は?

選手 所属 順位 記録 助走距離 歩数 100 m 200 m
皆川澄人 白樺学園 1位 7m48 -0.5 47m 20歩 11秒09 22秒08
長尾勇佑 斐太 2位 7m38 -0.4 43m 20歩 11秒05  
田中裕丸 大和川 3位 7m35 -0.7 37m 19歩 10秒98  
石橋哲也 京都両洋 4位 7m32 +1.0 35.5m 18歩 11秒25  
嘉山大介 深谷商 5位 7m32 −0.1 42m 18歩 11秒12 21秒92
          補助6m 補助6歩    
小西康道 白樺学園 6位 7m32 +0.3 40m 20歩 11秒52  
大岩雄飛 高岡龍谷 7位 7m18 −1.5 41m 19歩 11秒09  
清水 樂 静岡市立 8位 7m16 −1.1 38.3m 19歩 なし 22秒06


日本陸連科学委員会計測のデータ

2003年長崎インターハイ男子走幅跳のバイオメカニクスデータ
選手 所属 順位 記録 助走距離 歩数 100 m 助走中の最高速度
今井雄紀 佐野日大 1位 7m70 −1.1 43.5m 22歩 10秒53 10.3m/s
品田直宏 札幌国際情報 2位 7m69 +0.6 41.7m 21歩 10秒42 10.3m/s
仲元紀清 中部商 3位 7m67 +1.1 43.9m 22歩 10秒4 10.4m/s
菅井洋平 太田工 4位 7m46 +0.9 41.0m 19歩    
陸上競技マガジン2003年12月号から抜粋

 入賞者全員に助走の距離と歩数、100 mのベスト記録を確認した。石橋の助走が短く、皆川の助走が長めだったのが目についたからだ。その結果が上の表である。
 石橋に助走距離が短いけど、と質問をすると「6歩、6歩、6歩と3つに分けてやっています。最初が加速で、中間は加速と維持の真ん中くらいのイメージ、最後が刻む感じです」と“走り方”を説明してくれた。他の選手と比較してどうという意識はないのかもしれない。

 気になったのは100 mの記録が、ほとんどの選手が11秒前後にとどまっていることだ。
 5年前の03年長崎インターハイ時の3年生にも、走幅跳に人材が揃っていた。世界ユース優勝の品田直宏(自己記録7m87=高校歴代2位)、インターハイ2連勝の今井雄紀(7m70)、将来性を買われていた仲元紀清(7m67)、さらに国体優勝の菅井洋平(7m66)。この代の選手たちは100 mも強く、品田が10秒42、今井が10秒53、仲元が10秒4(電気では10秒74)という記録を持っていた。

 しかし、日本記録保持者の森長正樹は次のような評価をしていた。
「皆川は昨年のインターハイでは10.5m(/秒)くらいは出ていました。これは、僕の全盛時に近いスピードです。8mを超える可能性も十分あります。100 mが11秒0前後では走幅跳は7m30〜40くらいなので、もっと出せると思います。小西は今日みたいな向かい風だと苦しくなりますが、センスはすごくありますね。嘉山もセンスはあります。田中も思い切りのいい助走が魅力です」
 陸連が公表したデータが表の下の写真である。長尾が田中以上に早い段階でスピードを上げているのがわかる。また、2連勝の皆川の昨年の助走スピードと比較すると、今年が遅いことがわかる。前半は昨年よりも速いので、少し無理をしてしまったのかもしれないが、一番の原因はやはり向かい風だろう。

 陸上競技マガジン2003年12月号に、陸連科学委員会が計測した長崎インターハイのデータが掲載されている。そこから抜粋したものに、100 mのベスト記録を付け加えたのが下の表である。
 今年より全体的に記録が良く、助走中の最高速度も今年より高い。これは100 mのスピードというよりも、風向きの違いが原因だろう。実際、昨年の皆川は、5年前の3人よりも若干速いのだ。ただ、5年前の今井の優勝記録は向かい風1.1m。これは驚異的だったといえるだろう。
 もしも皆川の本当の力が11秒前後ならば、7m80を跳ぶにはその程度のスピードがあれば十分という結論になってしまう。これらのデータからも、森長が言ったように、皆川が100 mに本気で取り組めば10秒台中盤は出ると思われる。


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