2007/3/12
世界選手権マラソン代表決定

●男子
奥谷 亘(SUBARU)
諏訪利成(日清食品)
大崎悟史(NTT西日本)
尾方 剛(中国電力)
久保田 満(旭化成)
※補欠 佐藤智之(旭化成)

●女子
原 裕美子(京セラ)
土佐礼子(三井住友海上)
小崎まり(ノーリツ)
橋本康子(セガサミー)
嶋原清子(資生堂)
※補欠 加納由理(資生堂)

内定基準以外では一発勝負での順位、記録、暑さへの適応能力、8月へのピーキング実績などを評価
陸連・沢木強化委員長と記者たちとの一問一答


沢木委員長 今回は選考基準の第1、第2項目で選ぶことができた選手が少なく、部会から上がってきたものを選考委員会で精査して、男子7名、女子7名の中から選ばせてもらった。個々に説明した方がいいですか? 奥谷君は福岡で日本人1位となり、記録も2時間8分台で第2項を満たしています。諏訪君は福岡で3秒差の日本人2位の2時間08分52秒ということで選びました。(諏訪も日本人1位という点は満たしていないが)あとの3人は第3項で選びました。大崎君はアジア大会の走りと、それまでの若干の大会等の記録を評価した。特にアジア大会の暑さの中で、2位と同タイムの3位を評価しました。尾方君は福岡で日本人3位だったことに加え、前回世界選手権で3位だった。これらの実績を評価しました。5人目を久保田君、藤田(敦史・富士通)君、佐藤(智之・旭化成)君の中から選ぶということになりました。久保田君のびわ湖は18〜20℃と冬場では一番暑いコンディションの中で、最後の粘りを発揮した。経験は(マラソン3回と)浅いが、これを買わせてもらいました。経験として昨年の北海道2位も評価のポイントとさせてもらいました。8月にピーキングをできた実績を、です。補欠は藤田君と佐藤君にそれぞれ打診をして、佐藤君になった。久保田君と同じチームでもあり、*****しやすいと思う。
 女子は原さんが第2項でまず選びました。土佐さんは僅かの差で第2項では選べませんでしたが、第3項で選んだ。小崎さんは第3項だが、大阪を記録的に高く評価しました。次に橋本さん、嶋原さん、加納さん、吉田さんの4人を比較し、その中では橋本さんの名古屋での走り、特に最後の2.195kmは極めてレベルの高い走りで、それを評価しました。男子でも最後の2.195kmを7分が切れないことも多いなか、7分19秒で走った。最後のまとめを重要視したわけです。5人目ですが、記録的には加納さんですが初マラソンで、大阪の過酷な条件は新人にはきつい。その点、嶋原さんはアジア大会で頑張りましたし、前年の北海道で優勝した実績もある。暑さの経験プラス8月のピーキングの実績で嶋原さんを選びました。補欠は加納と吉田の2人から、同じチームの加納としました。

Q.藤田選手、佐藤選手と2度目の選考レースチャレンジで結果を出した2人が外れたわけですが、その辺の経緯が話し合いの中で出ましたか。
沢木委員長 2度目のチャレンジですごい記録で走った場合は高く評価しますが、(今回の2人は)1回目に比べてそれほどではなかった。記録が高くないときは、追試の点数としては低い評価になる。
Q.今後の北京、次の世界選手権でも、再チャレンジは認めないという方針になりますか。
沢木委員長 元々、11月から3月、あるいは12月から3月と、長い期間の中で3レースを選考レースとして行っている。世界選手権も含めれば、かなり長いタームになる。そのなかで再チャレンジは想定しています。ただ、2つを走ることが2つを足すことにはなりません。プラスになるかといったら、そうでもない。再チャレンジは相当の出来映えが要求されます。認めないという声もありますが、現在のシステムでは認めないわけにはいきません。そのときの*******。

Q.弘山晴美選手が候補者の名前に挙がっていませんでしたが、俎上に上がらなかったということですか。
沢木委員長 最終的な判断は記録的にやや低いということと、2位だったということ。その点、吉田さんは優勝している。そこに差をつけました。マラソンは優勝するのが一番、評価点数が高くなる。もうひとつ条件的なものも考え、特に吉田さんの北海道マラソンはスタートから30℃を越えていた。暑さへの適応能力が高い。ただ、それでも記録的に選べなかったということです。
Q.今日のお話では選考レース以外の過去の実績も判断材料に入っていますが、その辺はどう考慮されたのですか。
沢木委員長 今日の理事会でもその質問が出ました。過去の実績ありきで選ぶのではなく、まずは選考会ありき。そこで甲乙つけがたいのであれば、過去の実績に照らし合わせた。しかし、8月の、しかも(尾方を除けば)前年度というケースしか評価していません。
Q.2点あります。藤田選手は再チャレンジで記録はよくないということですが、選考レース唯一の優勝という点は、評価されなかったのでしょうか。もう1つは大崎選手が尾方選手よりも上で、嶋原選手が加納選手よりも上という評価は、それだけアジア大会を重用視したということでしょうか。
沢木委員長 確かにアジア大会は******で、気象条件など整理はされていないが、極めて**が高い。暑さの中のレースを評価しました。藤田君は優勝はしましたが、記録的なものも当然考慮されて、別大で過去、代表になった選手はみんな、2時間9分台を出しています。過去の選考したときの優勝、または日本人最上位の記録を、原案作成の段階で考慮しました。
Q.久保田選手が5番目で選ばれましたが、再チャレンジの2人を上回ったという評価なのか、同等レベルだけれど久保田選手の若さなどを評価した結果なのか。
沢木委員長 久保田君は一発勝負で日本人1位という部分はありますが、記録的には低い評価です。ただ、彼の走りはくたばってから盛り返した。粘りのあるところを評価点とし、なおかつ8月のレースでピーキングができていた点も評価しました。
Q.今回の顔ぶれを見て、どのような期待をされますか。また、本番での目標は?
沢木委員長 率直に言うと(本番での成績は)わかりません。私は大阪で生まれ、育ちました。8月から9月上旬の大阪は日本でも一番厳しい気象条件になる。そのなかで5人のうち何人が生き残るか、希望を持って見ていきたい。ただ、メダルを取れるか、何位以内に何人入れるか、出場する(他国の)ランナーも決まっていませんし、今の時点で予測はつきません。期待はしております。期待するがゆえに、選考で落とされた選手たちもいるのです。


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