2007/1/1 ニューイヤー駅伝
“区間順位の法則”から上位チーム成績を検証
ミスの少なかった中国電力と旭化成が1・2位
下記の表が、現行コースとなった2001年以降の1・2位チームの、各区間の区間順位である。タイム差のつかない1区と、外国人選手の集中する3区を除けば前回まで、1つの法則があった。それは“優勝チームは全ての区間で10位以内の順位を残している”ということ。2位のチームとなると、11位以上の区間がときおり出てくる。
区間順位ではタイム差まで表さないので、現実を完璧に反映したデータとは言いにくいが、ある程度の傾向は示していると思われる。
大会 順位 チーム 1区 2区 3区 4区 5区 6区 7区 2001 優勝 コニカ 3 2 2 8 2 1 1 2位 富士通 13 1 10 3 1 7 2 2002 優勝 コニカ 9 1 9 10 1 1 3 2位 中国電力 4 2 4 1 5 2 2 2003 優勝 コニカ 3 2 1 6 1 3 3 2位 日清食品 14 6 2 1 12 1 5 2004 優勝 中国電力 8 3 8 2 1 1 6 2位 コニカミノルタ 5 1 6 1 8 15 1 2005 優勝 コニカミノルタ 6 2 10 1 2 2 2 2位 中国電力 21 4 12 6 1 1 10 2006 優勝 コニカミノルタ 3 1 14 3 2 4 1 2位 中国電力 22 4 11 2 1 5 2 2007 優勝 中国電力 11 4 13 11 1 1 4 2位 旭化成 12 2 5 3 5 4 2
それを今回の結果に照合すると、優勝した中国電力では例外区間とはいえ1・3区が11位と13位、そして全体の選手層が薄くなり有利となるはずの4区でも区間11位。「つなぎの4区と6区、7区で日清食品を上回るはずだった」(坂口泰監督)という計算を、4区で下回り、追い上げが厳しくなった。
だが、3位の日清食品と4位のコニカミノルタと比較した場合、ミスは軽度だったため、5区の佐藤敦之の激走が生きたわけである。
その点、2位の旭化成は例外区間の1区以外はヒト桁順位。1区が大野龍二だっただけに、もう少し上位でつなぎたかったのというのが本当のところだろうが、2区の佐藤智之が区間2位と快走したのが大きかった。さらに、予想以上の走りを見せたのが3区の岩井勇輝。外国人選手たちに混じっての区間5位。日本人トップで、大森輝和(四国電力)を5秒抑えた。日本人3位の入船敏(カネボウ)とは38秒の大差。
展望記事を書くために宗猛監督に取材をした際、岩井は2区候補の1人であることや、3区に起用する可能性も話してくれた。3区なら、外国選手に対応した走りをするのではなく、抜かれても1人できっちり走り、力を出し切る走りができる点を買っていた。
今回の上位チームの中では、最も安定して力を出し切ったチームだったし、2・3・7区と、ポイントとなる区間で勝負強さも見せた。前回から若手への切り換えを推し進め、3年計画でV奪回を狙っている。その過程で今大会は「3位争いのトップを取る」ことが目標だったが、予想より1つ上の順位をゲットした。
日清食品は4区で区間13位と冒頭の法則から外れ、5区が区間22位と大きく逸脱した。4位のコニカミノルタも2区で区間13位。タイム的にも「隆行ほどの走りができなくても、太田にも1時間3分では走る力はあった。そこで1分違ってしまった」と佐藤ヘッドコーチ。その結果が区間13位だったとも言える。そして、続く3区で区間27位と大きく法則を逸脱した。
ごぼう抜きで順位を上げることも駅伝の醍醐味の1つだが、優勝をするためには、できればそれは避けたい。今回、佐藤敦之が5区で見せた6人抜きでさえ、優勝チームでは珍しいこと。上位チームが確実に力を出し切るレベルの高い駅伝では、それが普通のことなのだ。
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