2005/5/3 静岡国際
末續200 mでも19秒台はお預け
「“簡単に結果に出ること”をやっているのではありません」

「100 mの9秒台、200 mの19秒台」を今季の目標に掲げている末續慎吾(ミズノ)。だが、織田幹雄記念国際の10秒15(100 m)に続き、今回も予選20秒55(+1.8)、決勝20秒80(−1.7)と不発に終わった。「織田記念の倍の20秒30」(末續)を目標にしていたが、決勝で向かい風となる不運。スタートからの曲線で追い風になっていれば、それなりの記録が出るのが200 mだが、この日はホームストレートで真正面からの風となったようだ。
 決勝は走り自体もよくなかった。スタートから50m付近まではグングン抜け出た感じだったが、最後の50mは、予選で20秒56(+0.1)の自己新を出した高平慎士(順大)に追い込まれた。
「最初に行きすぎですね。でも、世界の200 mは最初から行かないと話しになりませんから。それで勝てたのでよかったです。高平君も強くなっているので。(20秒80の記録は)あれっ? っていう感じでしたが…」

 リラックスができた予選はそこそこ上手く走れたが、力み(強引さ)が出た決勝では後半が思うように伸びない。種目は違うが織田記念と同じパターンで失敗した。「アクセルを踏んだときの筋肉の切り換えが上手くいっていない」と高野進コーチ。昨シーズン終了後から本格的に取り組んでいるウエイトトレーニングが、走りにまだ生かせていない。
「そんなに“簡単に結果に出ること”を練習しているのではありません。今年はお試し期間。シーズンが終わってから、何が良かったのか、何が悪かったのかを考える」
 織田記念の時から一貫して、この部分は強調している末續。織田記念の記事にも書いたが、今季の末續は記録も狙っているが、あくまでも新しい走りを追求するのが大前提。「(国内では2年ぶりの200 mで)疲れた感じはしますが、ウエイトをやって帰ろうかな」と、記者たちを笑わせたが、この言葉に込められた意味は“記録が出なくても、その都度騒がないで”ということだろう。

 そういった流れでも、9秒台や19秒台をすごいことと考えていたら、世界で勝負することはできない。だから、そのくらいの記録はどこかで出しておく、という気持ちでレースには臨む。選手として、臨戦態勢に入ったら、闘争本能が前面に出るのは当然だ。次のコメントも、選手としての本能の言わせるものだったのかもしれない。
「専門は200 mですが、短距離選手としてのプライドは100 mにあります。そこから目をそむけるといつまでたっても勝てません」

 国際グランプリ大阪は100 m。これも結果を出すための試合ではないが、国際グランプリということで、アテネ五輪100 m金メダルのガトリン(米)ら外国強豪選手も出場する。闘争本能が最も大きくなりやすい。また織田記念100 m、静岡国際200 mと続く3連戦の、一応の区切りでもある。
「昨年から100 mが続いているので、走りがコンパクトになっている。静岡で200 mのリラックスした大きな動きを入れて、大阪で頑張りたい」と、高野コーチは織田記念のレース後に話していた。シーズン序盤最大の注目レースである。


春季サーキット&国際グランプリ大阪2005
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