2006/1/3 箱根駅伝
山梨学大・上田監督コメント
「丹精込めて炊きあげて、一粒一粒、塩味を効かせて握る。コシヒカリやササニシキでなくても、いいおむすびができる」


「20回目の出場で、チーム風土を手応えのあるもにしたかったのが今回の箱根です。しかし、1年間“変化・成長、そして成果”をテーマに取り組んできましたが、予選会、全日本大学駅伝とスローガン倒れでした。それが、最後の箱根で、やろうとしたことが形になって現れました。
 予選、全日本の2大会とも、モグスのインパクトだけが強く、目標としたところとは少し違った。肝心の“成果”が現れなかった。しかし今回は、実際のチーム状況との違いを各自が認識し、誰かがやれば、ではなく、自身のこととして頑張った結果です。
 例えば、この時期の朝練習は、体調が悪くて出てこられない選手も多くなりがちです。それが今回は1人もいなかった。チーム全員のそういった集中力が、レースに生きます。駅伝のタスキリレーに生きます。
 今回は駅伝の“伝”の字をやりたいと思っていました。今の駅伝は高速の部分が求められますが、“身の丈”のレースでいいと。1km1km、こつこつと応援の力を生かすような走りです。おむすびに例えるなら、丹精込めて炊きあげて、一粒一粒、塩味を効かせて握る。コシヒカリやササニシキでなくても、いいおむすびができる。それが今回、できたてたところです。そういうチーム作りができてきました。
 飯島コーチも就任5年目で、彼の持ち味が生かせてきた。チーム状況がよくなると、パーソナルのコーチングも生きてくる。そうなってくると、監督はチームビルディングがやりやすくなる。大学のチーム運営は、それらの要素が噛み合うこと抜きにはやれません。
 6区の梅本と7区の親崎は“育成”(“強化”グループの下。練習は同じメニューで行う)から上がってきた選手。小山に交替しましたが、10区にエントリーした鍋谷は“サテライト”(“強化・育成”の下のレベルのグループ)からです。そういった、選手のやる気がチームにあった。
 2位でフィニッシュしたときは正直、ウルっときました。誰かが頑張ったのでなく、本当にみんながよくやったと思います。アンカーの小山の後ろ姿を見ていて、これはチームの後ろ姿だと思いました。初優勝のときの感動とは、ちょっと違います。スパークルな感動ではありません。上手く言えませんが、駅伝指導の深さを味わえた幸せでしょうか」


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