2004/10/27 彩の国まごころ国体
大会4日目に3つの高校新!

松本百子(口加高・長崎)
女子やり投 54m34
「6mも伸ばしたんですね」

 少年共通女子やり投は3投目に松本百子(口加高・長崎)が50m47をマークすると、そのまま5投目までトップをキープ。しかし、6投目に永尾葉瑠香(成蹊女高・大阪)が50m84でトップに立つと、それを柴田浩后(専大松戸高・千葉)が51m19で逆転。松本は3位に落ちてしまっていたが、最終投てき者として登場すると……(詳細は陸マガ12月号参照)……54m34の高校新で逆転優勝を飾った。

「内容は良くないですけど、めちゃくちゃ集中できました。永尾さんが50mを投げて、同学年選手には負けられないと思いましたが、柴田さんは来ると予想していたので、落ち着いて投げられたと思います。これまでのベストは九州新人で投げた48m28です。6mも伸ばしたんですね。
 高校記録(の数字)は知っていましたが、忘れていました。今日は50mを目指していたので、自分が投げた記録が破っていたのかどうか、すぐにはわかりませんでした。今日は50mを投げれば、順位もついてくると思っていました。
 (3投目に)50m台を投げたときは、“このまま優勝だ!”と思ったんですが、6投目で…。最後はもう、思いっきり投げることだけを意識しました。思い切ってガーンと行って、やりを見たらまだ落ちていなくて。横から監督たちがウワァーっと声を挙げられて、(記録が出たと)自分も気づきました」

金丸祐三(大阪高・大阪)
男子400 m 45秒89
「ウッソー、と思いました。信じられませんでした」

 少年A男子400 mは6レーンの金丸祐三(大阪高・大阪)が前半から猛然と飛ばし、200 mを21秒5〜6で通過。後半も持ちこたえて、45秒89でフィニッシュ。為末大(皆実高・広島)が96年の国体でマークした45秒94の高校記録を8年ぶりに更新した。これまでの自己記録は46秒96。1秒以上の大幅更新だった。
Q.(質問不詳)
金丸 全然ですよ。ベストを0.1秒でも切れればいいと、思っていました。
Q.風はどう感じましたか?
金丸 僕、いつも風はわからないんですよ。ガムシャラに走るせいせ、よほどの風でないとわかりません。
Q.前半、かなり飛ばした?
金丸 自分のペースで行きました。でも、飛ばしたかもしれません。優勝を狙っていたので。
Q.45秒という数字を見たときの感想は?
金丸 ウッソー、と思いました。信じられませんでした。
Q.調子は良かった?
金丸 良かったです。動き自体が良かった。100 mを走ったからかもしれません。100 mは準決勝でベスト(10秒55・±0)が出せたんですが、決勝は硬くなってダメでした(10秒73・±0で5位)。
Q.ここまで大幅な自己記録更新を予想できた?
金丸 レース前は軽く走ったのにメチャ動いて、優勝できるかな、と思ったんです。それで300mまで積極的に行けたのだと思います。ラストは、本当にしんどかったですけど。
Q.高校記録とすぐわかった?
金丸 数字は速報だったので、45秒95になっちゃうかな、と思っていました。
Q.45秒台を(……質問不詳)
金丸 狙おうと思っていたのは来年です。45っていう数字はすごいですから、冬期、めちゃくちゃ練習して頑張ろうと思っていました。ここでは、自己記録を0.01秒でも更新できればいいと思っていたんです。
Q.リレーの記録更新も、この秋に狙っていた?
金丸 リレーの練習ばっかというか、どちらかというと100 mの練習が多かった。それで、スプリントが上がったのかもしれません。400 mの練習は、それほどしていません。
Q.動きが(……質問不詳)
金丸 スピードは出ていましたが、400 mの練習が不足していたので、止まってしまうんじゃないかと。
Q.動き自体を変えた?
金丸 それは、変えていません。
Q.後半の自信がなかったから、前半を飛ばした?
金丸 ですかね。無意識的に、優勝を狙って前半から行ったのだと思います。風は本当に、全然わかりませんでした。
Q.ラストの直線は、どんなことを考えて走っていた?
金丸 しんどいなあ、あと50mもあるのか、とか。ラストは絶対に(後ろから)来ると思っていました。
Q.来年の目標は?
金丸 自己新です。いつも、自己新を狙っていきます。世界ジュニアも経験してみたいですね。
Q.(質問不詳)
金丸 短距離全部が走れてこそ、短距離選手だと思います。1つのこと(種目?)だけではダメだと思います。
Q.好きな種目は?
金丸 全部です。以前は100 mが苦手でしたが、今回100 mで記録を出せました。たまたま出せた感じがするので、何回も出したい。
Q.世界のメダルを目標にしていいのでは?
金丸 為末さんの持っていた記録を破ったわけですから、自分も頑張って、いつかはメダルを取りたいですね。でも、並大抵の努力じゃ取れないと思うんです。頑張るしかありません。


佐藤秀和(仙台育英高・宮城)
男子5000m 13分39秒87
「4000mが11分00秒だったので、“あっ、出るかな”と思いました」

 少年A男子5000mはケニア3選手と佐藤悠基(佐久長聖高・長野)が飛び出し、1000mを2分38秒で通過。しかし、そのあたりからケニア選手1人が遅れ始め、カリウキ(滋賀学園高・滋賀)とモグス(山梨学院大附高・山梨)、佐藤悠基の3人に。1200mまでは1周毎のラップが63秒台という超ハイペースだった。しかし、間もなくカリウキが単独でトップに立ち、モグス、佐藤悠基とそれぞれ間隔が開いていった。佐藤悠基は1600mまでを66秒台、2000mまでを67秒台とペースが落ちていたが、依然、高校記録ペースはキープしていた。
 2400mまでの1周は68秒台で、佐藤秀和(仙台育英高・宮城)が佐藤悠基に迫り始めた。2800mでは完全に並んだ。この1周は佐藤悠基が秀和に付いたためか、67秒9と微妙にアップ。しかし、3100mでは完全に佐藤秀和が悠基を引き離し始めた。佐藤秀和の3200mまでの1周は65秒台。3400mではモグスをとらえた。3600mまでは66秒台、4000mまでは67秒台と微妙に落ち始めたが、4200m付近ではモグスを引き離し始めた。4400mまでは66秒台、4800mまでは64秒台とペースアップし、一昨年の国体でに土橋啓太(大牟田高・福岡→日大)が出した13分44秒91を大幅に更新した。


1000mまでを前の3人に付いていったら潰れていた?
Q.どんな展開を考えていた?
佐藤秀 もう何も考えず、行けるところまで行って、ダメだったら仕方ないと思っていました。高校駅伝の県予選で、僕が国体に出ることを配慮してもらっていたので(7区で13分45秒)、チームのためにも行けるところまで行こうと。
Q.前半、佐藤悠基選手に離されましたが、抑えて行った?
佐藤秀 前の3人がめちゃ速かったんです。僕でも1000m通過が2分40秒でした。3人に付けなかったのは事実ですが、行ったら潰れていたかもしれません。2分40秒だったので最後まで持ったのだと思います。
Q.(質問不詳)
佐藤秀 流れが、悠基と詰まっていたので、悠基より速く行けてるのはわかりました。悠基と並んだところで、そのまま行くか前に行くか迷いましたが、(渡辺先生から)指示もありましたし、前にモグスがいたので追いやすかったので、追えると思って行きました。
Q.どこで高校新を出せると?
佐藤秀 3900mで監督が「このまま行けば高校記録が出るぞ」と言ってくれて、4000mが11分00秒だったので、「あっ、出るかな」と思いました。残り1000mを2分45秒を切れば出るわけですから。
Q.実際は、2分40秒を切ったわけですが。
佐藤秀 そこまでは思っていませんでした。13分44秒は切れるな、と。
強くなれたのは悠基のおかげ
Q.クロスカントリー以外では、佐藤悠基選手に勝てていませんでしたが。
佐藤秀 僕が強くなれたのは悠基のおかげです。今回はたまたま僕が前でしたが、いつも悠基の後ろでしたから。今日のレース中も悠基が止まっていましたが、僕が前に出て付いてきてくれれば、2人で留学生まで行けると思っていました。
Q.(質問不詳。インターハイ優勝のモグスに勝ったことに関して)
佐藤秀 それほど嬉しくありません。僕が思うに、モグスよりうちのサミュエル(ワンジル)の方が強い。インターハイはサミュエルの調子が悪かったんです。サミュエルにトラックで勝てたら喜びたいと思いますが、モグスに勝てたことは、よくわかりません。
Q.監督からはどんな指示がレース前にありましたか。
佐藤秀 好きなように走っていい、と言われていましたが、風だけは頭に入れて走れと。風除けを考えたら、一緒にくっついて走らないと意味がなかったのですが。僕は風が強くて今日は記録は無理だと思って、それほど記録は意識していませんでした。むしろ監督の方が、僕の動きを見てくれて、風さえ注意すれば記録を出せると思ったのでしょう。
埼玉に来る前の練習と、県高校駅伝の走りで高校新に手応え
Q.会話にも新記録のことが出ましたか。
佐藤秀 インターハイが13分47秒でしたから、今回13分45秒は切れると思いました。埼玉に来る前に、1200m×4本をサミュエルと一緒にやったのですが、1・2本目はそうでもなかったのですが、4本目にいつにないスピードが出たんです。3分13秒でした。「13分40秒を切れる練習だよ」と、監督も言ってくれて。高校駅伝県大会のアンカーで、13分45秒で走ったときも「もしかしたら行けるかも」と感じました。1人でしたから。しかし、県大会1週間後だから、駅伝の疲れが出たのかな、とも感じました。でも、こっちに来たらもう、やるしかないと。
Q.確実に地力が上がっている?
佐藤秀 たぶん、ついたでしょうかね。今回、個人的には高校最後のトラック・レースで、より勝ちたい気持ちが強かったと思います。しかし、悠基にしたらこれで、駅伝は負けられなくなったでしょう。逆に僕にしたら、これで駅伝に負けたら意味がない。今回勝って浮かれてしまって駅伝に負けたら、意味がないんです。喜ぶのはここ2〜3日にして、その後は国体は忘れて、チームにプラスになる自分になりたい。
Q.駅伝は1区に?
佐藤秀 悠基とは3年間一緒ですから、一緒のところを走りたい気持ちは強いんです。でも、もしも僕が調子が悪くて1区をやってチームに迷惑をかけることだけは、避けないといけません。1区へのこだわりは、なくはないのですが、チームが優先です。
Q.高校駅伝の記録は?
佐藤秀 あのとき(去年の全国高校駅伝優勝時の2時間02分07秒)もベストメンバーではありませんでした。京都をベストメンバーで走れる保証はないので、誰が走っても勝てるようにチーム力を上げたいと考えて、今年、新入生を迎えて誰が走っても強い仙台育英ができたと思います。県大会も6割であの記録(2時間02分54秒)が出ました。あのレースもベストメンバーというより、代わって走った選手が強かったということ。底力は上がっています。

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