2004/4/25 兵庫リレーカーニバル
杉森の800 m復帰レースは2分4秒35
男女1万m以外は低温が記録に影響?

 昨年、腰の手術に踏み切った杉森美保(京セラ)が、1500mでレースに本格復帰したのが4月10日の金栗杯熊本中・長距離選抜だった。最初の1周を1分03秒で入ったL・ワゴイ(スズキ)についてオーバーペース気味に入ったが、終盤も踏みとどまって日本選手の追い上げを許さず、4分17秒24で2位。本人はスピードにまだ不安があるので兵庫の800 mでの記録更新には、自ら「?」をつけていたが、第三者的には「ひょっとすると?」との希望的観測もあった。

 スタート直後から勢いよく飛び出した杉森は、オープンコースになる100 m地点でトップ。大学の後輩に当たる日本記録保持者の西村美樹(東学大4年)が食い下がった。西村も前半から、自身でペースを作っていくタイプの選手。後輩に引っ張ってもらう手もあったと思うが、「私らしいレースで、復帰レースを走りたかったんです。レース感覚を取り戻すためにも」と杉森。800 mは世界室内以来1年1カ月ぶり、屋外では02年10月のアジア大会以来だという。
「今日は自分の種目である800 mですから、熊本とはまた違った意味で嬉しかったです。熊本の時と同じように、スタートラインでは支えてくれた方たちの顔を思い浮かべていました」

距離 杉森通過 スプリット
200 28.9 28.9
400 1:00.1 31.2
600 1:31.3 31.2
800 2:04.35 33.0

 表のペースでレースは進み、400 m通過時点で2人と後続とは10m弱の差。最後の直線に入る前あたりから西村をじりじりと引き離し始め、杉森が2分04秒35の大会新で優勝。西村は2分05秒72。
「58秒台くらいで400 mを入りたかったですね。風もありましたし、スピード練習もまだこれからですから。タイムよりもレース感覚を取り戻すのが先決でした」

 この日は16〜17℃という低温が、男女1万m以外の種目には影響が出ていたように感じた。杉森と西村という力のある2選手が揃って、あれだけ積極的なレースを展開して2分4秒台と5秒台というのは、いくらシーズン序盤とはいえ通常のコンディションでは考えにくい記録。その後の男子800 mやフィールド種目を見ても、記録に影響が出たのは確かだろう。
 もっとも、当の杉森はそれほど今回の記録を気にしていない。
「最終的には日本選手権で記録を出したいです。400 mを58秒台、600mを1分28秒台で通過して、最後まで押していきたい。日本人初めての1分台は常に目標にしています。1分台を出すトレーニングをしていきます」


春季サーキット2004
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