2003/5/3
静岡国際の全体的な記事  トラック
東海大3年の吉野がB標準突破=20秒68
周回種目は記録低調
弘山は34歳日本最高

 東海大からまた、活きのいい若手が台頭した。吉野達郎(東海大3年)が男子200 m予選3組で20秒68(+1.7)を記録してフレイター(ジャマイカ)に続いて2位。世界選手権B標準(20秒75)を突破した。決勝ではP・ジョンソン(豪)には敗れたものの、フレイターを抑えて3位。追い風3.6mで参考記録だったが、20秒51という好記録をマークして、伊藤辰哉(富士通)、松田亮(広島経大)ら実績で上の選手たちを抑えた。
「世界選手権を狙う気持ちはこれまで1%くらいでしたが、今日50%になりました。日本選手権は200 m。20秒59のA標準を切らないことには出られませんけど。4×100 mRだったら狙うのは3走です。直線はおふたり(おそらく朝原宣治&末續慎吾のこと)が強いので」
 予選1組で20秒75(+2.8)と好調そうだったエドモントン代表の松田亮だが、決勝では5位。注目の高平慎士(順大1年)は予選2組2位(21秒10 +2.6)で落選。1着取り(+4)の洗礼にあった。予選4組中、唯一2m以内の風(+1.7)だったのが3組。吉野のB標準突破の陰に隠れてしまったが、3位の田村和宏(セコム上信越)が20秒77の自己新をマークした(※田村にとってドラマチックなレースだったことが判明したので、吉野・信岡沙希重とともに200 mミニ特集にすることに決定。いつ書けるかは未定)。早大の先輩でアトランタ五輪代表だった馬塚貴弘(スズキ)は、4年ぶりの20秒台。

 女子200 mは信岡沙希重(ミズノ)が直線でもトンプソン(豪)を寄せ付けず、23秒83(+1.5)の自己2番目の記録で快勝。トンプソンを挟んで、好調の松本真理子(福島大TC)が24秒22の自己3番目の記録で3位に。4位には同大の新人・笠原瑞世が24秒66の自己新で入った。

 数少ない公認記録のチャンスに好タイムが生まれた男女200 mとは対照的に、トラックを周回する種目の男女800 mと男女400 mHは記録が低調だった。男子400 mHの千葉佳裕(富士通)の優勝記録は50秒23、女子400 mHの吉田真希子(FSGカレッジリーグ)は57秒97。女子800 mの西村美樹(東学大)は2分06秒98、男子800 mの後藤良徳(大阪教大)は1分50秒70。
 当初、男子800 mのあまりのひどさを指摘しようと思っていた。4組タイムレースで行われ、有力選手が集められた第4組(この組の選手が勝ってくださいと主催者が設定した組)のトップは森祥紀(自体学)で1分51秒29。優勝を3組の後藤に譲ったばかりでなく、全体では4番目という体たらく。しかも、新人の鈴木尚人(自体学)をペースメーカーに仕立てた末の結果である。
 しかし、各選手の話を聞くと、この日も風が回っていたようだ。向かい風の局面が多くなると、仮に追い風となる局面が同じくらいあったとしても、走りにくくなる。4組は風が最も影響してしまったのだろう、と結論するに至った……が、それを考えても、悪すぎるかな。小林哲也(福田組)は16位、笹野浩志(富士通)は22位。やっぱり、批判されても仕方ない内容だった。
 そんななか、優勝した後藤は今回の1分50秒70で、大学入学以来4年連続で1分50秒台を達成したことになる。今後は積極果敢に、記録に挑んでいくだろう。

 岩水嘉孝(トヨタ自動車)が出場していなかった3000mSCは、内冨恭則(中国電力)が8分42秒04できっちり優勝した。2位の関川佳男(日産自動車)は8分43秒75と、兵庫リレーカーニバルに続いて自己新と好調。

 吉野の他にB標準を初めて突破した選手は、意外なことに高岡寿成(カネボウ)。1万mでスズキの新人・マサシを最後の直線で逆転したが、昨年のベストが28分17秒29だったため、今回(28分03秒62)が初の突破となる。だからといって、高岡が世界選手権に出場することはない(はず)。夏は五輪選考レースとなる12月の福岡国際マラソンに向けての走り込みを行う。それに、来夏のアテネ五輪に備えて夏対策も。
 同じく福岡を目指す藤田敦史(富士通)も今春は積極的にトラックに出場している。しかし今回は、高岡とは対照的に中盤から苦しくなり、辛うじて29分を切る28分57秒25。
 高岡と同じシカゴ・マラソン出場の渋井陽子(三井住友海上)も、藤田同様、ピリッとしなかった。残り2周の時に遅れた織田記念5000mよりもはるかに早く遅れ、最終的には32分41秒61と00年の水戸国際より悪く、00年以降ではワースト記録ではないかと思われるような記録。
 調子がよかったのはシカゴと同時期のアジア大会マラソン代表だった2人。アジア大会銀メダルの弘山晴美(資生堂)が日本人トップの4位で、銅メダルの大南博美(UFJ銀行)が5位。弘山は32分15秒72と浅井えり子の持つ34歳日本最高記録(32分47秒88)を更新した。


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