2003/4/20
六甲中距離ストーリー@
一見、凡レースだった男子1500mだが…
順位 氏名 所属 記録 コメント 1 辻 隼(81) ヤクルト 
東 京3:46.51 
2 三津谷 祐(84) トヨタ九州 
香 川3:46.80 
3 木實 淳治(80) 八千代工業 
三 重3:47.58 
4 小林 史和(78) NTN 
三 重3:48.09 
5 星野 寛(79) ヤクルト 
東 京3:48.19 
6 田子 康宏(83) 立命館大 
鳥 取3:50.64 
7 臼田 暁史(77) 札幌陸協 
北海道3:51.50 
8 坂下 智一(79) 八千代工業 
三 重3:58.02 
9 小林 哲也(74) 福田組 
新 潟3:59.58 
10 今井 功記(78) 大塚製薬 
徳 島4:00.17 
11 三宅 浩之(81) 京都産業大 
京 都4:02.92 
男子1500mの結果は上記の通り。「優勝記録が3分46秒51では低調のそしりは免れず、中距離関係者の奮起を促したい」という1センテンスの記事で事足りる種目だった。が、その実、中距離の面白さも詰まっていたレースだったように思う。
まず、田子康宏(立命大)がハイペースで入り、400 m通過は57秒6(手元の非公式計時、以下同)とぶっ飛ばした。これだけのスピードで最初から行ってくれると、見ている側が与えられるインパクトは、ものすごく大きい。迫力が違う。
田子は昨年9月の日本インカレに1年生ながら優勝。元来、ハイペースでぶっ飛ばすレース展開を身上とするが、昨年10月の国体では、スローペースの集団待機からラスト勝負で優勝するなど、異なるレースパターンにも対応できる選手。
その田子が一冬を越えて再び、元の積極的なパターンでトラックに戻ってきた(故障などでブランクがあったわけではないが)。当然、集団は縦長となり、このとき三津谷祐(トヨタ自動車九州)は最後尾かそれに近いところに位置していた。
先頭は以下のペースで推移した。
400 m 57秒6( 57秒6)
800 m 1分59秒8(1分02秒2)
1000m 2分30秒
1200m 3分03秒1(1分03秒3)
1500m 3分46秒51( 43秒4)
昨年の日本選手権優勝者(当然アジア大会代表)で、3分30秒台(3分39秒86)にも入った小林史和(NTN)は1000m過ぎで動いてきた。俗に言う好位置(集団の2〜3番手)に上がってきて、いつでもスパートできる態勢に。そして1200mを通過するとともに、先頭に立った。
小林が完調だったら、そのまま逃げ切れたかもしれない。しかし、ホームストレートで前に出たのは辻隼(ヤクルト)だった。昨年の全日本実業団優勝者。小林と徳本一善(日清食品)のアジア大会代表2人を、キック(ラストスパートの力)で破っている選手だ(辻の中学・高校時の話は省略)。
そして、2位には、いつの間にか三津谷が上がってきていた。三津谷については「A」で詳しく触れているが、高卒ルーキーでラストの強さが特徴の選手。3位には2000年の日本選手権優勝者の木實淳治(八千代工業)が入った。
活きのいい若手選手(田子)が飛ばし、実績のある代表選手(小林)がスパート。キックが特徴の選手(辻)がラストスパートを決め、そして、高卒ルーキーが2位に食い込む。多くの要素を1回のレースで堪能することができた。
さらに、今回のレースで言えるのは、田子の飛び出しに集団の前の方ですかさず反応した選手が、最後には力つきたり、伸びなかったり(田子自身も6位まで後退)という状況に陥ったのに対し、集団の後方でハイペースの影響が比較的少なかった三津谷が、最後で伸びたこと。中距離特有の勝負のあやというか、ペースのあやみたいなものも、3分50秒の間に演じられていたのだった。
A高卒ルーキー三津谷が1500mで2位!
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