2003/7/26 南部記念
世界選手権代表の調整ぶりA
杉林孝法
4回ファウルと不安を残す結果も、自信のコメント
「全部が2〜3cmのファウル。今は数cmにこだわると逆効果」

 男子三段跳は杉林孝法(ミキハウス)が16m41(+2.9)で、2位の稲葉広幸(東海大)以下に格の違いを見せた。だが、6回の試技内容は以下の通り。
F−16m41−F−F−P−F
 昨年は16m80、3年前には17m02を跳ぶなど、杉林にとって相性のいいのが南部記念。記録だけを見たら、どこから見ても不安を感じさせる内容だった。シドニー五輪、エドモントン世界選手権と連続で予選落ちした原因は、3回目までに16m台後半の記録を残せなかったことだが、日本選手権で克服したと思われたその課題も、再度生じてしまったようにも見えた。だが、杉林の話を聞くと、その不安は払拭された。

「世界選手権への手応えはもちろん、ありますよ。今日も1本目は16m80くらい行っていました。1本目である程度の距離を出せれば、後半も跳べない(伸ばせない)ことはありません。1本目から16m台後半が固まってきていますので、自信はつきました。ただ、今日は助走が安定せず、前半は毎回、狂いがありました。そこが一番の反省点です」

「ファウルがかなり多かったですけど、全部2〜3cmのファウル。ギリギリのところで攻めているので、仕方がないことです。これまでがこれまでですから、“またファウルばかり”と言われてしまいそうですが、今は数cmにこだわると逆効果。結果的には誉められませんが、トレーニングの過程としてはいい感じできています。狙いは世界選手権、今の段階ではこんなものです」

「3年前にここで17mを跳びましたが、今から考えると決していい跳躍ではありませんでした。引っかかって出た記録です。それが今は、実力で出せるようになっています。以前はピットに立っても踏切板まで助走をしてきても、跳べるかどうかわかりませんでした。でも今は、これは跳べるというのがわかります。ピットに立っただけでわかりますよ。3年前とは感覚が全然違います」

 5月の東日本実業団は15m55だったが、3週間後の日本選手権では16m96と1m41も記録を伸ばした。「世界選手権でも同じくらい、記録を伸ばせると考えていい?」との問いにはさすがに苦笑していたが、今年の杉林がこれまでとはふた味くらい違うのは確かだろう。


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