寺田的陸上日記      
毎日の陸上競技関連ニュースを紹介しつつ…        
昔の日記はこちらから
2001年9月。アルバータ牛の次はキアーナ牛。そして11月…

●9月30日(日)
 全日本実業団の最終日。昨日ほど意外性はありませんでしたが、強豪選手がそれなりの結果を出してくれて、まずまず盛り上がりました(記事はコメント集にしました)。
 ところで、西部緑地公園といえば、10年前の1991年に国体が開催された競技場です。確かその国体の初日だったと思います。当時、陸マガ編集者だった寺田は、読者プレゼント用のTシャツを各メーカーさんからいただき、両手に抱えて宿舎への帰路につこうとしていました。悲劇はタクシーに乗り込もうとしたところで起きました
 タクシーの停まっていた場所の左側が、柵のない池で、すでに暗くなっていたためそれにまったく気づかず、見事に池ポチャです。腰のあたりまでの深さがあったような気がしますが、なにせ10年前のことです。もしかしたら大腿くらいの深さだったかもしれません。しかし、このアクシデントにもとっさに反応し、読者プレゼントのTシャツを水に浸けなかったことが、各方面から賞賛され……たかな? 
 でも、その模様が11月発売の陸マガ編集後記で紹介されると、R社のY沢マネジャーからお見舞いの電話をいただきました。嬉しかったです。

 ということで、10年ぶりの金沢出張でも、何か起こるような不吉な予感がありました(というのはウソですが)。しかし、帰りの飛行機にもぎりぎりで間に合い、これで大丈夫だと思った矢先の出来事でした。
 実はベルリン・マラソンは帰宅してから、ビデオで見るつもりでした。結果を知らずに見れば生中継と同じ興奮を味わえます。そこで、夕方4時にスタートしているベルリンの情報を、金沢からの帰路、すべて遮断しようと試みました。
 競技場から金沢駅までのタクシーでテレビがついていたので、N村カメラマンがすかさず、運転手にテレビを消すように頼んでくれました。実際は、音だけ消してもらって、画面は見ないようにしました。空港でも、TBSのS野アナやH大W部先生、K社S井監督に会いましたが、すかさず「ベルリンの話はしないでください」と懇願。帰りの便は陸上関係者だらけでしたから、その会話が聞こえないようにヘッドフォンをしていました。ところが……。
 ゲートに入ろうとしたところ、脇に設置された大型テレビの画面が目に入ってしまいました。Qちゃんが満面に笑みを浮かべてインタビューに答えています。10年前の池ポチャと比べられることではありませんが、やっぱ金沢との相性はよくないようです。そういえば、来年のNHK大河ドラマの主人公は加賀百万石の初代、前田利家だとか。前田家の城下町だけに、飛行機に乗るときも脇を見ず、前だけを見ていればよかった。


●9月29日(土)
 全日本実業団初日を取材。とにかく盛り上がった一日でした。詳しくは記事にしたので、そちらをご覧ください。夜はファミレスではなく香林坊の焼鳥屋で。しかし、入ったときからずっと、客は我々一組しかいませんでした。土曜の夜だというのに…。それとも、土曜の夜だからだからでしょうか。
 ベルリンの佐々木記者が、「おい寺田、お前はどっちの意見を支持するんだ!」と、ファミレス論争に油を注いできました。ベルリンに出るのは尾方選手なのですが…。
 私としては「デートはお洒落な店で」などというスカした慶應ボーイの意見には賛成できません。さりとて、「ブルガリを知って当たり前」(9月23日の日記参照)、と言う東京生まれのつくば育ちの肩を持つのもシャクです。
 元々、寺田の意見はどっちとも、ちょっと違います。別に、ファミレスでもマクドナルドでもいいと思っています。そういうところでもいいと言ってくれる相手を見つけるべきだという意見ですね。
 これはもちろん個人の自由で、お洒落な店でないと行かないような女性を選びたい男は、そうすればいいだけの話です。でも、強いて言えばマクドナルドよりモスバーガーの方が好きですね。あと、最近ではフレッシュネスバーガーもいいかも。
 要するに、愛は形よりも中身が大切だと言いたいわけです。わかったかね、イチロー&ISHIROくん。ワッハッハ。


●9月28日(金)
 日本インカレ取材後、20時羽田発のJASで金沢へ。
 国立競技場から羽田空港へは、新しくできた都営地下鉄大江戸線と京浜急行を使うと便利かもしれません。接続がうまくいくと、泉岳寺で1回乗り換えるだけで済みます。一度試してみてください。ただし、時間がかかって遅刻したからと、寺田のせいにしない人に限ります。
 日本インカレは17時45分に最終種目の男子1万mがスタートするタイムテーブルでした。駅すぱあと(パソコンのソフト)で羽田空港までの時間を調べ「18時15分にフィニッシュするから18時25分に乗れば、19時18分に着くな」と計算していました。ところが、1万mがフィニッシュしたのが18時18分くらい。スタートが少し遅れたのでしょう。
 18時25分の次は18時35分国立競技場発で、19時29分羽田空港着。手荷物検査が厳しくなって、検査場で何分も並ばないといけないかな、との不安がありましたが、すぐに入れたので余裕で間に合いました。

 宿は駅から徒歩5分の金沢マンテンホテル。“マンテン”は“満点”のことかと、同行のカメラマン・N村君が聞いてきましたが、そんなことホテルに聞けるわけがありません。特に、若い女性の従業員なんかに質問した日には、それこそオヤジです。国立競技場で自称オヤジの福島大・川本先生にはお会いしましたが…(まだまだ若いと、寺田は思うのですが)。
 夕食はかなり遅くなりましたが、香林坊の魚系の料理屋さんで。タクシーの運ちゃんの話では、金沢は魚系がおいしいとのことだったので。でも、だが、しかし…そのー、他の地方の魚とどう味が違うか等という高等な味覚がないのです、寺田には。きっとおいしかったのでしょう。明日は、駅近くのファミレスにしようかな。原稿も書かないといけないし。


●9月27日(木)
 ベルリンから降伏撤回文章が届きました。昨日の降伏文章から間もないじゃないかと思われるかもしれませんが、実は今日紹介するメールが届いたので、昨日の降伏文章を掲載したのです。その間、確認したい点もあったので、ベルリンにメールを出していました。
 では、佐々木記者からの降伏撤回文章を紹介したいと思います。
<以下は佐々木記者のメールからの抜粋>++++++++++
確かに高校生以下では、デートでファミレスを使うのも致し方ないでしょう。デート以外の用途が、どの年代にとってもあることも重々理解できます。
が、成人してまでファミレスデートはまずいだろう、というやや焦点を絞った意見にさせていただきます。これなら全面降伏、もしくは全面的な意見撤回にもならないでしょう。例外として、学校帰りにちょっとお茶でもと大学生や専門学校性が立ち寄ることは容認できそうですが。

やはり、成人してファミレスデートはまずいでしょう。実際、あまり多いケースとは思えませんが。女性に対して失礼だと思うし、男性にとっては手抜きにほかなりません。
もちろん、ファミレス研究に精を出しているカップルで、「今の時期のロイホ(ロイヤルホストのことです、念のため)ならタイ料理フェアが始まっているはず。去年のトムヤンクンとどう味が変わったか試しに行こうよ!」なんてさわやかなマニアトークをしているなら別ですけど。

たとえ田舎でも、デートと称するなら、男は気合をいれるべきでしょう。
(中略)
何を熱く語ってるのでしょうか、私は。しかも、ベルリンで・・・。
++++++++++
 このメールに対し寺田が、「石井記者(=ISHIRO)の主張する“ファミレス以外にレストランがない地域だったら、全ての用途にファミレスを使うしかない”という主張に対し、正面から反駁していないのではないか。仮に、本当に仮定の話だけど、つくば市に住んでいたら、土浦にまでデートに出かけて、それなりのレストランを探すべきという意見か」とメールを送ったら、そうだとの回答でした。
 うーん、本人も言っているように、佐々木記者は熱くなっています。ベルリンは燃えているか?


●9月26日(水)
 ベルリンから白旗――といっても、高橋尚子選手が世界最高への挑戦をあきらめたわけではありません。それどころか、小出監督は26日の記者会見で「気候や体調などすべての条件が最高なら2時間18分50秒から19分20秒は出る」と話したと報じられています。白旗を掲げたのはベルリンで取材中の“本家イチロー”こと、佐々木記者です。まずは昨日の日記を読んでから、下記の佐々木記者の“降伏文書”をお読みください。
<以下は佐々木記者のメールからの抜粋>++++++++++
> ファミレスが相対的に比較的高い位置に存在している地域では、
> 「そういう用途」が、ファミレスの範疇に含まれることも少なくありません。
> そこんとこ、よく理解しておくように。<ここまではISHIRO氏のメール>
 ごもっともで、ございます。このたびは、若造ごときがたいへん失礼いたしました。
 寺田さんの日記を盛り上げるために? 生意気を承知でメールを書いたわけですが、ちょっと裏目に出てしまったようです。寺田さんも、掲載するときは、もうちょっとコミカルに体裁を整えて下さいよ〜。あれじゃあ、スカした嫌みな奴みたいじゃないですか。とかいって、私も書いたことには責任を持たなくてはいけません。
++++++++++
 慶應ボーイが一発でKOされてしまった、というところでしょうか。彼にも言い分はあるようですが、寺田のWEBサイトの特徴の1つに“現場の声をそのままファンにお届けする”点が挙げられます(これは自分で言っているのでなく、何人かの方から指摘されていることです)。
 佐々木記者はベルリンからこんなメールを送ってきて、何を取材しているんだ、とお怒りの読者もいるかもしれませんが、そう思った人は読むのをやめましょう。今後も血圧が上がることは間違いないでしょうから、健康によくありません。彼の名誉のために言わせてもらえば、佐々木記者の優秀さはロンドン・マラソン取材の際に寺田が身をもって味わっています。詳しくは4月19日の日記をご覧ください。


●9月25日(火)
 水面下の対決が、公開バトルに発展しました。9月13日の日記で寺田が「ファミレスにいすわ“ろう”」の法則を発表したところ、日刊・佐々木記者から“ひと言”(9月17日の日記)があり、それに対して毎日・石井記者から水面下で反論がありました(9月21日の日記“ISHIRO”“本家イチロー”対決勃発か?参照)。
 それを石井記者ことISHIRO(マリナーズのイチローに顔が酷似している)が自身のWEBサイトで公開しました。以下がその内容です。もっともな意見ですが、佐々木記者にも“本家イチロー”の意地があるはず。そう簡単には引き下がらないでしょう。
<以下はISHIRO氏WEBサイトFrom ISHIROコーナー9月23日欄からから転載>
 掲示板でライターの寺田さんも書いておられますが、今、私の周囲で「ファミレス論」が白熱(?)しています。
 寺田辰朗さん、日刊スポーツの陸上担当・佐々木一郎くん、そして私の3人には、いずれもファミレスで仕事や作業をすると能率が上がる、という共通点があるようなのですが、佐々木イチローくんが、「僕はファミレスでデートしたことはない。レストランの種類に応じて用途があるはず」と主張。これに対して私は「レストランの選択肢が限られる地域では、ファミレスをデートに使うこともあり得る」と反論しました。
 だってそうだったんだもん。僕が学生時代の6年間を過ごした某県某市(入学したときは村だった******寺田注:どこか知ってるけど、書けません)では、ファミレスは比較的高い地位にあって、いろんな目的で使われてましたもん。レボート書きに集中しようと思って行ったら、いつもはコワい先輩が見知らぬ女の子とデレデレになって食事をしていたので、これはイカンと思ってあわてて「別の席に移っていいですか?」と頼んで、仕方なく遠く離れた喫煙席に座るとか、(その頼んだ相手の店員が、これまた知ってる学生だったりする)
 部のだれかの誕生日といえば、バースデーパフェをサービスしてくれるファミレスに十数人で大挙して押し寄せたりとか、「きょうはちょっとオシャレな酒を飲もうか」と言って、カクテルを出すファミレスに飲みに行く(笑)とか。
 あー、もうファミレスの思い出って、数えだしたらキリがない・・・


●9月24日(月)
 那須滞在最終日。午前中にエミールガレ美術館に行って、あとは帰ってくるだけ、という一日でした。もうちょっと、ゆっくり読書をする時間がほしかったな、というのが感想です。帰りの電車の中でやっと、1冊読み終えました。明日からは、また日常の生活を再開しないといけません。
 やはり、旅のをすることの特徴は“非日常”を経験できることです。そう思って、今回は携帯電話を持っていきませんでした。ネットとメールくらいはやってもいいいかな、と思ってパソコンは持参したのですが、幸か不幸か接続できなかったのは、一昨日の日記ですでにご紹介したとおりです。陸マガの10月号の為末選手の記事(本人の手記ではない)には、選手にとっての“日常と非日常”を話題として取り上げて書きました。そこでは、“非日常”の方がパフォーマンスがよくなるという話だったので、今回の旅行とは関係ありませんが、記者の場合も出張して(特に大きな試合で)仕事をすると、パフォーマンスが上がるような気もします。ただ、資料をたくさん調べて書かないといけない記事は、無理なのですが。
 明日はさっそく取材が入っています。那須ともゆかりのある選手です。


●9月23日(日)
 那須滞在2日目。標高1790mの茶臼岳に登ってきました。えーっと、那須の標高ですが、茶臼岳の山頂までいくロープイェイの駅が1420mで、そこまでバスで行くのですがその途中は、箱根駅伝の5区を思わせる部分がややあります。寺田が泊まったプチホテルの近辺は、等高線のある地図を見る限り、800m前後でしょうか。それでも朝はかなり寒かったです。でも、昼間、日が当たる場所はそれなりに暑くなります。しかし夕方は、6時15分くらいで真っ暗になり、一気に冷えます。高原特有の気候ってやつでしょうか。宿の支配人(兼料理長らしきおじさん)によれば、この2〜3日で急に冷え始めたとのことですが。
 あと思ったのは、昨年の8月に山口衛里選手の取材で大分県の長湯温泉に行ったのですが、その帰りに通った九重高原とも雰囲気が似ているということです。ただ、広さというか、雄大さでは九重の方があるような気がします。正確に測ったわけではありませんが。それに、ランニング・コースなども九重の方が整備されています。那須は道が狭いし、場所によっては歩道がないので、練習にはどうかな。トラックはどこかにはあるのでしょうが。
 茶臼岳の山頂からの眺望は、「関東平野が見渡せる」という触れ込みです。北には福島県の白河市も見えます。福島といえば寺田が那須に来る前に泊まっていたホテル(どこのホテルだ?)にはブルガリ(BVLGARI)のシャンプーなどが置いてありました。なんで、福島とブルガリが関係あるのか…実は、陸上界とも密接な関わりがあるのです。
 話はスーパー陸上の日にさかのぼります。池田久美子(福島大)選手が走幅跳で日本人1位となり、日本GP年間優勝を決めました。強化費を何に使うかという話になったとき「先輩たちとお金を出し合って、川本先生にブルガリの時計をプレゼントしようかと考えてます」と、答えていました。「ブルガリって…?」と質問すると、一緒に話を聞いていた毎日・石井朗生記者だったか、日刊・佐々木一郎記者だったかが「寺田さんは知らないと思うけど、高級ブランドで…」と説明してくれました。
 そのブルガリのシャンプーを、休暇中に見ることになるとはね。ちょっとした偶然。
 夜の食事には、牛のステーキが出ました。那須牛の産地でもあるのです。前述の料理長がよくしゃべる人だったので、「世界3大牛ってご存じですか」と聞いてみようかとも思いましたが、一応、やめておきました。


●9月22日(土)
 今日から那須に来ています。那須高原というくらいですから、標高がそれなりにあるのでしょうが、今日泊まっているのは黒磯駅から10kmほどの場所ですから、そんなに高くないのかもしれません。明日、調べておきましょうう。ところで、黒磯といえば、確か箱根駅伝にも出ていた選手が何人か黒磯の高校の出身ですし、元富士通の鈴木賢一選手も今年から、黒磯で先生をしています。それから、渋井陽子(三井海上)選手も那須拓陽高の出身です。
 それはともかく、那須はいいですね。観光施設が洋風でお洒落な雰囲気です。ログハウス風のものもあれば、クラシックな電車車両を改造したものもあります。宿泊施設も同様で、寺田が泊まっているところ(ホテル写真)も、室内はもちろん、ガーデンや温泉も小ぎれいで、プチホテルといった雰囲気です。全体にハーブをモチーフとしていて(販売もしている)、室内・トイレ・廊下などの設備的な部分はもちろん、食事にもハーブ・薬膳が効果的に使われています。温泉も漢方のなんたらかんたらで、ハーブが使われています。エステもあるようです。
 唯一の難点はインターネットへの接続ができないこと。部屋からもダメでしたし、最終兵器のカプラーを使ってピンク電話からトライしてもダメでした。携帯電話は持ってきていませんが、ペンションの部屋ではつながらないようです。ということで、この日記は那須滞在中にアップすることは不可能かも。同じ理由で、メールも出せません。メールをくれた方、申し訳ありません。


●9月21日(金)
 「未来少年コナン」のDVDがあることをメールで教えていただきました。ありがとうございます。早めに入手して、元気をもらおうかと思っています。考えてみたら、インターネットで検索すればわかったことなのかな、という気がします。この手のことに威力を発揮するのがインターネットですよね。何年、インターネットを使ってんだ、って突っ込まれそうです。Windows3.1の時代からですから…何年なんでしょうか。
 インターネットのもう1つの特徴は、ボーダー(境界)レスということです。Eメールを始めてからたぶん、8年か9年になりますが、イタリアからメールをもらったのは初めてかもしれません。6月のゴールデンガラ取材の際に、イタリアからメールを送ったことはありますが。
 スポニチの中出記者が夏休みの旅行先から、“世界3大牛”について報告してくれたのです。中出記者はエドモントンでアルバータ牛を食べたのに続き、キアーナ牛を食べたわけです。
「分厚いTボーンステーキ(ビフテカ・フィオレンティーナ)を頼みました。庶民的な店に入ったにしては良かったです。お値段は30000リラ(約2100円)。炭火で焼いたのですが、やや生焼けの骨のそばの肉がけっこういけたので、牛刺がうまいのではないかと思います。狂牛病などもあり、牛肉を生で食べる人はいないと思いますが。。。アルバータとどちらがうまいかと言われると、エドモントンで最初に行った店の肉は上だと思います。プレスレストランとは同じぐらいでしょうか。こちらの高級店は分かりませんが」
 さて、残りは松阪牛だけです。年間グランドスラム達成は、11月3日でしょうか?
 ところで、ISHIROさんのWEBサイト掲示板に、以下のような書き込みがありました(しました)。

“ISHIRO”“本家イチロー”対決勃発か?
 ISHIROさんのホームページをご愛読の皆様、こんばんは。ライターの寺田辰朗と申します。
 このページの読者の方はすでにご存じかと思いますが、IISHIROさんはファミレス好きです…というか、「ファミレスを使って仕事・勉強をすると能率が上がる」、という持論を持っています(“持”ダブリ)。かく申す私も、かねてから、その効用を自分のWEBサイトhttp://www.ne.jp/asahi/rikujouweb/terada/の日記でアピールしてきました。
 そして、私の日記を読んだ“本家イチロー”こと佐々木一郎記者も賛同してくれました。この3人に共通しているのは名前にロウ(朗・郎)がつくこと。私はこの現象に「ファミレスにいすわ“ろう”の法則」と名付けています。
 しかし、佐々木記者がちょっと、キザな発言(9月17日の日記を見て下さい)をしまして、それに対してISHIROさんが、ちょっとした反論を水面下でしています。
 その内容を公開していいという許可をもらっていないので、ここでは書けないのですが、“イチロー対ISHIRO”の対決が勃発しています。詳しく知りたい方は、ISHIROさんに直接聞いてください。しかし、彼も忙しいので「返事がなくても絶対に怒らない」と宣誓できる人だけにしてください。


●9月20日(木)
 やっと今日から夏休み。秋が近くても夏休みと言い張らざるを得ません。なぜなら、“夏休みはまとまった日数をとっていいが、秋休みというのはそもそも存在しない”という、おかしな先入観が日本にはあるからです。かといって、欧米がどうなのか、アフリカ諸国(サハラ以南)がどうなのか、アラブ諸国がどうなのか、中国がどうなのか、調べたわけではありません。
 アニメ映画「千と千尋の神隠し」を日比谷の映画館で見ました。誰と一緒に見たかは内緒。1人で見たのかもしれないし、2人かもしれないし、3人かもしれないし、5人かもしれないし、7人かもしれない。さて、ここに挙げた数字の共通点は何でしょう? わかった方はメールをください…とクイズにして、視線をそらす(何から?)。
 「千と千尋〜」ですが、プログラムを読むと宮崎氏は「10歳前後の女の子のために作った」とインタビューに答えていますが、この作品の味がわかるのは、どう考えてもそれなりの経験を積んだ大人(一般的な意味での大人)です。日常に忙殺されていたり、あるいは金儲け(“=仕事”にかなり近い)のことなど目先のことに目を奪われている大人が、はっとさせられる映画ではないでしょうか。
 宮崎駿氏の作品は好きです。「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」などなど。でも一番好きなのは「未来少年コナン」です。作品中、主人公の少年・コナンが走っている姿が何度も何度も出てきます。あるときはライバル的な少年のジムシーと対決するため、あるときはヒロインの少女を助けるため、あるときは敵の基地から脱出するため、あるときは敵の巨大飛行要塞を落とすためと、目的はいろいろなのですが、コナンが走っている姿はどんなときでも生き生きしていています。輝いています。「走るって、どこか楽しそう」と思えるのです。
 陸上競技を日常にしている(仕事にしている)寺田ですが、「千と千尋〜」を見て、かつて「未来少年コナン」を見て感じたことを思い出しました。どこかで、純粋さを忘れていたような気がします。
 ところで、「未来少年コナン」全話のDVDって出てないんですかね。ご存じの方、メールください。


●9月19日(水)
 今日もまだ、仕事をしています。夏休みは、どこへ行ったんだ? その答えは、「夏休みはどこへも行かないし、どこからも来ない」である。ちょっと哲学的でわかりにくいでしょうか? その答えは「わかる人にはわかるし、わからない人にはわからない」である。
 アメリカ在住、ATFS(世界陸上競技統計者協会会員)のケン中村さんからメールをいただきました。9月15日の日記で“思うに、外国人プレスはいつも、大した質問をしていない。今日はどうだったかとか、あの大会とどちらが嬉しかったかとか、記録はどう思うかとか。日本人記者の方がよっぽど、その選手のことを勉強していて、練習内容や技術的な部分まで突っ込んだ質問をしている”と書いたことへの感想です。
 寺田の意見に半分は賛成だと前置きをしながらも、外国人記者にも勉強している記者はいるし、日本人でもひどいインタビュアーはいる、というご意見でした。
 まさに、その通りだと思います。寺田の書き方が一面的すぎたと反省しています。実は「外国人記者にはこれこれの傾向がある。しかし、中には違う記者もいると思うし、中国や東南アジア、アラブやアフリカ、南米の記者が質問をするのに出くわしたことはない」と、書こうとも思ったのですが、例外が多すぎると論点がボケるかなと思ってやめてしまったのです。一般誌ならともかく、このWEBサイトなら、こういった書き方もOKでした。説明不十分なことを書いてしまったと反省しています。


●9月18日(火)
 今日もまだ、缶詰めです。ここまで仕事がかかるとは思っていませんでしたし、この日記を読んでいる方は「寺田って仕事が遅いんじゃないか」と思ってらっしゃるかもしれません。自分でもそうかな、という気がしますが、他のライターがどんな原稿をどのくらいのスピードで書いているか、調べようがないので比べる対象がありません。
 夕食をファミレスで食べて、ついでに原稿も1本半書いて、少しめどが立ちました。というわけで、帰宅してから「救命病棟24時」の最終回(2時間スペシャル)を見てしまいました。このドラマが陸上界と縁があるのは9月4日の日記で紹介したように、看護婦役の須藤理彩が93年の宇都宮インターハイ200 mで準決勝まで走っているからですが、もう1つ接点があります。
 99年のシーズンイン直前に、ライターのN口さん(モーニング娘。の誰かに似ているという噂。寺田はモー娘の顔まではわからない)の発案で、オーストラリアで合同合宿をした太田陽子選手と今井美希選手の日記を、陸マガに掲載しました。そのとき、今井選手が「救命〜」(当時第一バージョン)を見ていて江口ようすけ(漢字忘れた)のファンだと書いているのです。
 ドラマを見た人でないとわからないネタで恐縮ですが、寺田は「金と出世」には無縁な立場ですので、あの手のテーマを見せられても、何も感じることはありません。でも、最低限の額はちゃんと稼がないといけないんだけど…(この…は何を意味するのだろう)。


●9月17日(月)
 おっかしいなぁ。本当だったら今日から夏期休暇に入るはずだったのですが、なぜか事務所(兼自宅)に缶詰め状態です。本当に、おかしい。
 何が悪い(原因)かといえば、先週のアメリカ中枢同時テロです。おかげで、予定していた海外旅行を中止せざるを得ませんでした。中止をしなければ引き受けなかった、と思われる仕事も引き受け、海外旅行がなくなったショックからここ数日の作業能率が落ち、その結果として今日も缶詰めなわけです。だからといって、缶詰めにされたマグロや鯖や鮭の気持ちがわかるわけではありません。
 などと滅入っていたら、本家“イチロウ”こと日刊スポーツ・佐々木記者からメールが来ました。9月13日付の日記で“ファミレスは作業効率が上がる”こと、それに賛同している、名前に“ロウ(朗・郎)”が付く3人の記者がいることを記しました。佐々木記者は作業効率が上がることは認めつつも、下記のように書き加えています。
「ただ、うら若き女性読者のために付け加えていただくとすれば――私はデートで、女性をファミレスに連れていったことが1度もない、という点です。いえ、決してファミレスを否定するわけではありません。それぞれのレストランに、それぞれの用途があるといいたいだけです。わっはっは。」
 さすが慶應ボーイ、と言いたいところですが、これは女性にもてないライターTへのあてつけのような気もしますが、こういうケースは気のせいのことが多いようです。ただ、佐々木記者がもてるのは厳然たる事実です。スーパー陸上が終わったあとも、ある女性記者からすごい誘いを受けていました。ちょっと文字にはできませんが……。


●9月16日(日)
 昨日の日記の続きです。ジョンソンの取材中に映画「ローマの休日」を思い出した理由なんですが――。その前に、外国選手がインタビューでよく口にする単語が昨日紹介したgood, excellent, badでは少なすぎました。great, enjoy, disappoint などがよく聞かれます。「今日はあそこの大会で習得したリズムを試そうと思っていた」とか「200 mを21秒3で通過したいと考えていた」などと自ら話す選手はいないように思います。せいぜい「今日はテクニック的にもよかった」くらいでしょう。テクニックのどこが、までは話しませんね。あれだけ雄弁に話すモーリス・グリーンですらそうです。
 で、「ローマの休日」というのは、ヨーロッパのある小国の王女様(ヘップバーン)が各国を旅行していて、あまりの息苦しさにローマで失踪してしまいます。ローマをお忍びで遊んでいる間に、アメリカ人の新聞記者と仲良くなって、いろいろと体験するわけです。その新聞記者ともちょっとあって、結局、王女の生活に戻るのですが、失踪の間、表向きは病気ということになっていました。
 ローマ最後の日(だったと思う)に記者会見があり、「どこの都市が一番気に入りましたか?」という質問が出ました。躊躇する王女にお付きの大人が「どの都市もまた」と耳打ちします。いったんは、そう答えた王女ですが、くだんの新聞記者の顔を発見した王女は「ローマです」と、きっぱり言い直しました。「病気だったのにですか」という突っ込みにも、「ローマです」と毅然と答えるわけです。
 マイケル・ジョンソンも、「どのレースが一番印象に残っていますか」ときかれて、ヘップバーン王女のような優等生的な答えをしたわけです。そこで映画のように、いったん「全てのレースが思い出深い」と言ってから、しばらく間をおいて「東京です」とでも言ってくれたら面白いのに、と取材をしながら考えていたわけです。そうしたら、「東京の世界選手権は記録が悪かったのに?」と突っ込みを入れられるので、ジョンソンの方も「記録は悪かったけど初めて世界一のタイトルを取ったから」と答えられたのになあ。
 すいません、意味のない仮定でした。実際、東京のレースは他のレースと同じ印象だったのだから、仕方ありません。正直な選手に、うそを言わせるのはよくありません。
「反省してください」(松たか子)


●9月15日(土)
 本日はスーパー陸上取材。今年のスーパー陸上は、マイケル・ジョンソン(米)の引退レースでもあった。その取材をしていたら、オードリー・ヘップバーン主演の映画「ローマの休日」を思い出すのと同時に、寺田にとっても“世界でただ1人しかできない経験”をさせてもらった(ご想像の通り大げさです)。
 レース後、当然のようにジョンソンの記者会見が行われていた。昨日の記者会見でも同じ質問が出ていたが、今日も「自分のハイライトだったと考えているレースを1つ挙げて欲しい」という質問が飛んだ。ジョンソンの答えも「全てのレースが同じくらいハイライトだった。1つを答えることは、とてもできない」と、昨日とまったく同じ。
 しかし、寺田は陸マガ編集者時代に、ジョンソンが表彰台で涙を流している写真を、何試合かで見たことがあった。1つに絞ることは難しいとしても、涙を流した大会というのは、それなりに印象に残っているのではないか。本来なら、上述の質問が最後になるはずだったが、ジョンソンの回答が終わるやいなや間髪を入れず、質問を口にしていた。
寺田「91年の東京世界選手権200 mで優勝した際、表彰台で涙を流していましたが、あれは初めて涙を流した大会でしたか」
ジョンソン「いや、何回か泣いたレースはある」
寺田「その中でも初めて泣いたのが、東京だったのでは?」
ジョンソン「いや、東京が初めてではない」

 確かに、アトランタ五輪の2冠のときも、セビリア世界選手権で世界新をマークしたときも泣いていた。こうしてみると、ジョンソンはかなりのレースで、感涙にむせんできたのだろう。小出義雄監督が、高橋尚子選手の金メダルよりも千葉県高校駅伝に初優勝した時の方が感動は大きかった、と言っているように、もしかしたらジョンソンにとって、世界記録やオリンピックの金メダルよりも、テキサス州の大会で3番になったときや、NCAAで入賞したときの方が感激は大きかったのかもしれない(その可能性もあるということ)。
 最後に、「こんな変わった質問をされたのは初めてだ」と、ジョンソンが言うので「光栄です」と答える寺田。ちょっと嬉しかったが、自分としてはそんな変わった質問をしたつもりはない。思うに、外国人プレスはいつも、大した質問をしていない。今日はどうだったかとか、あの大会とどちらが嬉しかったかとか、記録はどう思うかとか。日本人記者の方がよっぽど、その選手のことを勉強していて、練習内容や技術的な部分まで突っ込んだ質問をしている。
 そんな外国人プレスの質問にばかり答えている外国人選手も、今日はいいレースだったとか、嬉しいとか、残念だとか、いいレースができて光栄だとか、そんな単語の繰り返しである。英語で言うとgood,excellent,bad,そんなんばっかである。たまーに、ライバル選手への敵対心を露わにしたり、選手と記者がケンカをしたりするなど、日本では真似のできないこともしているが…。お互い、練習内容や技術を話しても仕方がないと思っているような節もある。それはコーチや研究者がすればいいことで、一般大衆報道するのは別のことだ、と言わんばかりである。
 話がそれてしまったが、あのマイケル・ジョンソンの、現役最後の公式会見で、最後に質問をしたのである。これは間違いなく、世界に1人しかいない。だが、これを読んでいるあなたも、世界で1人しかいないのは間違いない。
「ローマの休日」の話までたどり着けませんでした。そもそも、今日の話の後半は、こうして書いてみると「ローマ〜」とは関係ないな。ともかく、明日書きます。


●9月14日(金)

 これからは為末大選手のことを“GTT”と呼ばせていただきたいと思います。
 本日発売の陸マガ10月号をお持ちの方は、29ページからの為末選手の手記をお読みください。めっちゃ文章が面白いです。ここまで自分の置かれている状況や気持ちを、わかりやすく文章にできるとは…(唖然とする自称ライターのT)。文章の構成、要するにネタの配置の仕方もチョベリグ(死語か)でしょう。はっきりいって、その辺のライター顔負けです(実際、顔でも負けてると思う、自称ライターのT)。これからは、為末“大”先生と呼ばないといけないでしょう(と思う、自称ライターのT)。大先生……英語で言うとグレート・ティーチャー・タメスエ、つまりGTT。
 本日はその為末大先生も出場するスーパー陸上の記者会見の取材に行きました。詳しくは記事をご覧ください。GTT、やってくれそうな気がします。


●9月13日(木)
 やや青みがかったクリアな闇が、2人の男の周囲を包んでいた――なんて書くのは、まったく柄じゃないですね。実は日本学連幹事長の赤穂くんと寺田の住んでいるのが、同じ多摩市で距離にして400 mもない近さだったのです。夜、近くのファミレスで待ち合わせをして、北京ユニバーシアードの話を聞きました。本サイトの記事は、彼の話をもとに構成したわけです。
 ファミレスといえば、寺田がよく仕事をすることは、本日記で何回か紹介していますが、毎日新聞・石井朗生記者も、学生時代からファミレスで仕事&勉強をした方が集中できると、ネット上で告白しています。石井記者はマリナーズのイチローに似ていることで有名で、「みんなに似ているって言われるから髭が剃れなくなっちゃったんですよ」と言いながらも、まんざらでもない様子です。ネット上ではISHIROの方が通りがいいでしょうか。ちなみに本名は“いしい・ろうせい”(略してISHIRO)……ではなくて“いしい・あきお”だったかな。ちなみに寺田のフルネームはめったに書かないけど寺田辰朗。“たつろう”ではなくなぜか“たつお”です。なんで“お”と読ませるのか、小学生の頃、親に質問したことがあるのですが、肝心の理由を忘れてしまいました。この日記を読んだらきっと、メールかFAXが来るでしょう。
 そういえば、もう1人、ファミレス好きの記者がいらっしゃいます。本家“イチロー”の、日刊スポーツ・佐々木一郎記者も、「寺田さんの日記を読んでファミレスで仕事をしたら、すごく効率が上がったんですよ」と、声を弾ませていました。彼も名前に“ろう”がつきます。世間でよく言うところの『ファミレスにいすわ“ろう”の法則』です。名前に“ろう”がつく人は一度、試してみてください。


●9月12日(水)
 今回のアメリカ同時多発テロで思い出した事件の1つに、アメリカを筆頭とする西側諸国による80年のモスクワ五輪ボイコットがあります。ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議しての政治的対抗措置でした。西ドイツ、日本はアメリカに同調してボイコットしたのですが、同じ西側、しかもNATO(北大西洋条約機構の略だぞ)という軍事同盟の盟友であるイギリス、フランス、イタリアは参加しました(もしかしたらフランスは脱退していたかも)。
 100 mでアラン・ウェルズ、800 mでスティーブ・オベット、1500mでセバスチャン・コーとイギリス勢がトラックを席巻し、200 mではピエトロ・メンネア(イタリア)が金メダルを獲得しました。ちなみに、伊東浩司選手が100 mで10秒00を出したときに、“黒人以外の選手が9秒台を出していない”ことが、盛んに指摘されました。それで勘違いした人が出たようで、“200 mの19秒台も黒人しか出したことがない”という記述を、どこかで読みました。それも2回以上は読んだ記憶があります。言うまでもなく、メンネアは白人で、19秒72の元世界記録保持者です。
 話をボイコットに戻します。不思議に感じたのは、イギリスも政府はボイコットを主張したのに、オリンピック委員会が政治的圧力をはねのけて参加を決定した、とニュースで聞いたときです。日本ではなぜ同じことができないのか。この疑問は、今も疑問のまま残っていますし、特に京都に取材に行ったときなどはこの疑問が再燃します(理由を聞くのは野暮ってもんでっせ)。
 今回のテロ事件のあおりを受け、犬伏孝行(大塚製薬)の乗った航空機が、カナダに行き先を変更したそうです。シカゴ・マラソン自体、開催できるかどうか危ぶまれているとのことです。95年の阪神淡路大震災で大阪国際女子マラソンが中止になったこともありました。
 かつて、反ソ連という共通の立場だったアメリカが、アフガニスタンのイスラム教徒にゲリラ戦士としての教育をしました。20年後の今、そのアフガニスタンにアメリカがマークするテロリスト、なんとかラディン氏が潜伏しています。アメリカは実行犯だけでなく、実行犯を支援する組織も同罪だとぶち上げています。
 選手やスポーツファンの気持ちを無視して強行した、あのモスクワ五輪ボイコットはいったい何だったのだろう。


●9月11日(火)
 アメリカの同時多発テロのニュースに接して脳裏に浮かんだのは、1990年の仙台インターハイです。大会何日目だったのかは忘れましたが、ホテルから競技場に向かうタクシーの中で、“イラクのクウェート侵攻”のニュースを聞き、背筋が寒くなったことを覚えています。その結果が湾岸戦争にまで拡大したのは周知の通りです。あのときも「これはまずいんじゃないか」と思ったものですが、今回はあのとき以上の衝撃です。あのときは最初から国家同士の問題で、今回はテロリストの犯罪という違いはありますが…。
 これまで、社会的な大事件と取材が重なったことも何度かあります。95年1月の阪神淡路大震災の日、当時ダイエー所属だった若倉和也選手(現小森コーポレーション・コーチ)に連絡を取ろうとしたのですが、まったく電話が通じませんでした。というか、震災のことを知らずに電話をしたらまったく通じず、あとから震災のことを知ったのです。
 おなじく95年3月の地下鉄サリン事件の時は、交通機関が麻痺をして順大女子陸上部1期生の卒業式取材に行けなくなってしまいました(カメラマンとライターの方(当時の寺田は編集者)は行けたので取材はできたのですが)。あのときも最初は、大規模なテロ事件でどんな展開を見せるのかわからず、社会的なパニックに陥りました。
 パレスチナ問題に関するアラブと西側の対立については、歴史的にも政治的にも根が深く複雑な問題なので、私などが言及すべきことではありません。が、人の生命をなんとも思わないテロリスト、何万人もの若者や国民の生命を危機に直面させる政治家は、忌むべき存在です。これは、寺田のような何の取り柄のない人間でも、声を大にして言っていいことです。そして、陸上選手とファンの楽しみを奪うような犯罪行為には、形容しがたい憤りを感じます。今回のテロの影響で、スーパー陸上出場予定選手の何人かには、影響が出るかもしれないのです。


●9月10日(月)
 昨日(9月9日)のグランプリ・ファイナルで、世界の陸上シーズンは閉幕(スーパー陸上に出る選手を除く)。それにしても、記録面では低調でした。目立ったのは女子ハンマー投のジュニア世界新くらいでしょうか。ホント、世界記録は出にくくなりました。でも、競技として成熟すればするほど、記録が出にくくなるのは当然です。まして、一部種目には、共産圏全盛時の記録が残っているのですから。
 しかし、陸上競技を扱うメディアまで、“新記録が出なければ陸上競技は面白くない”的な報道の仕方をしていたら、ファンはますます面白くなくなっていきます。陸上競技の面白さは記録だけではないはず。そのためには、多様な価値観を認めることが重要になってきます。一部メディアに見られる「オリンピック以外は試合じゃない」「新記録が出なければ低調」といった論調(……というか、扱わない)は改めてほしいと思います。メディアを持っている人間自身が面白さを理解できず、世間に面白さを伝えず、その結果が売り上げ減少というのが、現在の悪循環のように思います。自分の首を絞めているようなものです。
 例えば来年ですが、日本の陸上界はアジア大会を最大の目標とするでしょう。しかし、別にヨーロッパのGPで記録を出したって、賞金マラソンで優勝したって、将来につながらないわけはないし、そのこと自体にも価値はあると思うんですけどね。


●9月9日(日)
 昨日から、東京は(特に寺田の住んでいる多摩地区は)雨がざーっと強く降ったかと思えば、やんで晴れ間……までは見えなかったかもしれませんが、その繰り返しです。こんなところにも“秋”を感じます。“女心と秋の空”とはよく言ったもの、とはこれっぽちも思いません。男の気持ちだって、秋の空程度には変わります。女性の方が変わりやすいって、どうやって証明するんでしょう。その証拠に、T大学の陸上部の院生がアンケート調査を実施したところ、雨が降ったときに練習メニューをスパッと変えるのは、男子選手の方が多いという結果が出たそうです……というのはウソですが、この仮説はけっこう気に入っています。誰か、ホントにアンケート調査してくれないかな。
 秋をテーマにした、「シーズン心得」を箇条書きにリストアップしました。ファミレスで原稿を書いているとき、ドリンクバーを何杯かお代わりします。アイスティーで始めて、最後はホットコーヒーなんかを飲んでいると、ふと“秋”を感じます。
(現在午後4時。日記をアップした最早記録か)


●9月8日(土)
 昨日の日記に登場させてもらった千田辰己さんはATFS会員ですから、その知識はけた外れです。しかし、千田さんの才能はそれだけにとどまらず、文章のユーモアといいますか、軽快なジョークの織り交ぜ方と言いますか、そういった面でもお手本としたい方です。いつだったか、もう7〜10年は前になると思いますが、陸マガに「国際マラソンをオマーン(国の名前です)で開催したらとんでもないことになる」と、平気で書いてしまわれる人なんです。
 今回の予想ゲームの結果を振り返る文中にも、「過ちは2度、繰り返してはならない」という広島平和記念公園にあるコピーを、実に効果たっぷりに2回ほど使っています。1回は男子5000mのサイディ・シエフ(アルジェリア)の失敗について、もう1回は……ちょっと、これは紹介できません。まあ、内輪の人間だけで楽しんでいるものですから。
 それから、男子100 mの2次予選で風速測定器が正確に作動しなかったことも、きっちり批判されています。聞けば、世界選手権直前の水泳の世界選手権でも、セイコーの機械が上手く作動しなかったとか。それで千田さんは「精工舎製」を皮肉って……これも書けません。まあ、内輪の人間だけで楽しんでいるものですから。


●9月7日(金)
 ATFS(世界陸上競技統計者協会)の千田辰己さんから手紙が届きました。仕事関係のことではなく、内輪で楽しんでいる「オリンピック・世界選手権予想ゲーム」の結果集計です。このゲームは27人が参加し(人数は毎回変動する)、全種目の優勝者と優勝記録を予想します。優勝者を的中させた予想者が少人数ならばボーナス得点がつきます。記録は何%範囲内なら何点と、精度に従って得点が決められているのです。
 そのゲームで寺田は27人中5位でした。ただし、優勝者予想では46種目中26人の優勝者を的中させ、なんと1位でした。ということは、記録予想の成績が悪かったということですが。
 寺田はこのゲームに92年のバルセロナ五輪から参加していますから、今回で8回目ということになります。97年のアテネ世界選手権までは5回連続5位以内(5、4、2、5、3位)という快進撃だったのですが、セビリア世界選手権は23位、シドニー五輪は14位と低迷していました。馬脚を現したというか、でも馬の脚だったら速いはずなのにとか、速いのと予想の精度は違うぞとか、脈絡のない文章になってしまいました。いつもですが。
 つまり、寺田の場合、いわゆる“ビギナーズラック”が5回、あしかけ6年間も続いていたのです。それ以外の理由はあり得ません。ということは、“陸上版TOTO”が実施された暁には、最初の数回に大金をつぎ込めばいい、ということか。そういえば、今を去ること10数年前、人に勧められるまま購入した三菱重工の株は、ものの見事に上がってくれました。ビギナーズラックか…。
 ビギナーズラックが「予想ゲーム」初期の好調の原因なら、今回の5位はどう説明したらいいのか、という疑問が生じます。この結果が出るのは何か、理由があるはずだ……記事を書くときにもこの手のテーマが生じます。しかし、そう簡単に“これをしたからこういう結果が出ました”と、言い切れないケースが多いのです。そういう場合は、いくつかその可能性のあることを列挙するか、選手の特徴やエピソードを書いくにとどめ、これが原因だと断定するような書き方は避けます。あとは読者側がどうとらえるか、に任せるしかありません。選手が言いたがらないケースもありますし、書き手の側が“こうだからこうなった”的に断定するのは、その競技に詳しくなればなるほど、難しくなってしまうことも多いように思います。
 知識の乏しいライターほど、安易に原因を特定しがちですね。エドモントンに出発する藤田敦史選手を取材した際にも、こんなことがありました。ある雑誌の記事で昨年の福岡国際マラソンのレース中、藤田選手が集団の中で位置を変え、意図的に他の選手のリズムを狂わせた、と書かれてあったので藤田選手自身に確認したところ、そんな意図はまったくなかった、と話していました。
 というわけで、寺田の今回の好成績に、理由なんかないのです。えっ、予想ゲームとスポーツを同列に論じるなって? ご意見、ごもっともです。ごもく寿司なら、もっとよかったんですが。


●9月6日(木)
 怒濤の締め切りラッシュのあとには、怒濤の打ち合わせラッシュ……というほどでもないのですが、1日に打ち合わせが3件も入るのは珍しいことです。14時、16時、18時半のアポです。打ち合わせがあるということは、仕事があるということとほぼイコール……でもないんですね、これが。今後の方針というか、これからこんな感じで頑張りましょう、という打ち合わせも多いのです。
 2件目の打ち合わせ先に向かっているとき、E食品のY本選手がジョッグをしているところに、偶然出くわしました。偶然などと書かなくても、示し合わせていたら出くわすとは言いません(たぶん)。これは同じニュアンスの言葉を重ねることで、一種の強調表現にしているってやつですか。「83m67と83mを越えた」という言い方と同じ……でもないような。自信なし。
 そんなにスピードを上げた走りではありませんでしたが、知り合いぶって練習の邪魔をするのはどうかと思い、向こうが気づかなければそのままやり過ごそうかとも思いましたが(道を間違えて焦ってもいた)、Y本選手の方がこちらに気づいてくれました。しかし、今考えると、すれ違う一瞬のことで、よくこちらを認識ししてくれたなと、思います。選手はそういうことに慣れているのでしょうか。ただ単に、Y本選手の頭の回転が速いだけのことかもしれません。考えてみたら、逆のケース(選手がこちらに気づいてくれない)も多いような気がしますし。


●9月5日(水)
 メルマガ原稿が結局、今日の昼までかかってしまいました。N實さん、いつもすいません。
 昼過ぎから、来月の国体取材用にホテル予約をインターネットの「旅の窓口」でしようとしましたがダメです。7月に国体事務局に取材申請のことなどで電話をしたら「ホテルは国体で全部抑えているわけではありません。インターネットでも予約できますよ」との回答だったので、さすが仙台と思ったものです。小〜中規模の都市で国体やインターハイが行われると、宿泊施設はすべて大会当局が押さえてしまいます。それでひと安心というか、エドモントンに出発前の忙しさもあって、帰国後でいいか、と後回しにしてしまったのです。で、帰国したら、なんやかやで忙しく、締め切りラッシュが終わってやっと、ホテル予約に神経が向いたという次第。本来ホテル予約くらい、多少忙しくてもできないといけないんですけどね。陸マガ編集者時代は、やっていたような…。
 とにもかくにも、そのあとが大変でした。ホテルガイドを見ながら電話をかけまくりました。10何件はかけたでしょう。こういう場合、3〜4件かけてどこも満室だからと、あきらめてはいけません。国体の取材は10月13日チェックイン、同18日チェックアウトの日程になりますが、終盤1〜2泊は空いているホテルもありますが、5泊連泊ができるところはなかなかありません。寺田の場合、まずはモジュラージャックが室内の電話についているホテルから当たります。もちろん予算以内で。ネット接続ができないと、仕事に支障が出ます。
 結局、ジャック付き予算内のホテルは見つけられず、ジャックなしのホテルで1つ、駅から徒歩7分のホテルで空室を見つけました。もしかしたら、それすらラッキーだったのかもしれません。まあ、最悪、駅構内のグレ電で接続できるかと、そのホテルを押さえました。
 もしも国体のホテルを押さえてない方がいらしたら、お早めにすることをお薦めします。


●9月4日(火)
 今日は1日中、オフィス(兼自宅)に缶詰め状態。一歩も外出せずに仕事をしていました。途中、校正や訂正の仕事が飛び入りで入って来るもなんとかこなし、4本の締め切り中3本が終了。あとはメルマガだけです。
 後輩のN村からメールが来ました。添付ファイルに4本の赤い線が引いてあります。つまり、4本のレッドライン。“締め切り(デッドライン)”とレッドラインをひっかけたつもりでしょう。どうせなら、“爪切り”を4個送ってくれたら実用的だったんですが。
 遅めの夕食前に3本書き終えて一安心したので、気分転換も兼ねて「救命病棟24時」を見ました。看護婦役の須藤理彩がなんでこの日記に再三登場するかといえば、彼女は93年の宇都宮インターハイに出場しているからです。200 mで準決勝まで進んでいます。専門誌のバックナンバーを持っている方は、93年9月号をご覧ください。


●9月3日(月)
 かーなり、やばくなってきました。「やばい」という形容詞を使ってもみても、本人でない限り、どのくらい“やばい”のかはわかりません。死にそうなくらい“やばい”のか、締め切りに遅れそうな程度なのか、あるいは人類が滅亡するくらいなのか…。「やばい」という言葉の使い方は人それぞれだからです。まして、締め切りに遅れた場合、どのくらいの不利益があるのかを具体的に紹介することはできないので、「やばい」という言葉を使った人間の焦り具合を測ることは不可能なのです。まして(2度目の“まして”)、「死にそう」、という言葉も、人によって使う状態に差があります。ある人は一生に10万回「死にそう」と言うでしょうし、ある人は200回しか言わないからです。
 しかし、この理屈は世間では通用しません。例えば、ある記事で「A選手の勝因は練習を頑張ったからかもしれないが、練習の頑張りの度合を他人と比較することは不可能だ。まして、練習方法は100人選手がいたら100通りある。どれが正しいとか正しくないとか、言うことはできない」などと書いたら、たぶんボツでしょう。専門誌だと、このあたりのことも上手く書けば、それなりに受け入れてもらえるのですが(読者のレベルが高いから)…。
 うーん、なんか文章の脈絡が怪しくなってきたぞ。つまりですね、「やばい」という言葉を使うときも、それなりの説得力、意味を持たせないといけないということです。記事で「A選手の勝因はこれだ」と、説得力を持たせないといけないのと同じです。なんか、忙しさのハイテンションに任せて書いていますが、実はこの問題はスポーツ・ジャーナリストにとってかなりシリアスな問題で、話すと長くなってしまいますし、詳しく知りたい方はN紙S記者に聞いてください。
 要するに、「やばい」状況を具体的に説明しないといけません(それより前に、そんなにやばいのなら、わけのわからない説明をくどくど書くな、という意見あり)。
 明日締め切りの原稿が4本あるのです。今日は千葉方面で取材のため朝から外出し、帰路、新宿に16時頃着きました。外で1本片づけると楽になる、と判断してなんとかビル(歌舞伎町ではないし、雑居ビルでもない)の「アンデルセン」で3時間ほど執筆しました。100行の記事で、80何行まで書き進みました。ところが、盛り込もうと予定していたネタの半分も書き込めません。これが、一番やばいパターンです。きつそうだとは感じていましたが、レース描写にその選手の背景を盛り込みながら書いていたら、それで行数を費やしてしまいました。事後取材を頑張りすぎたようです。
 残りの3本は50行前後のものが2本と、水曜日配信予定のメルマガです。メルマガは個人で配信しているのだから遅れてもいいじゃないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、れっきとした仕事です。全部、明日中には仕上げるつもりです。“つもり”じゃダメですね。仕上げます。
 とか書いておいて、実は気持ちのどこかにゆとりがあるのかもしれません。千葉方面への電車の車中で、読書をしていましたから。メルマガの原稿も1本、書き終えてあるしな。水曜日、メルマガが配信されたら、怒濤の締め切り攻勢(誰が攻めるんだ?)も一段落したということです。


●9月2日(日)
 休養ベースの一日でした(と言っても今日はあと4時間44分残っていますが)。
 久しぶりに昼頃まで寝て、遅い朝食。遅い昼食はファミレスで。これまた久しぶりに読書をしました。エドモントンの出発準備が忙しくなってからは読書はしていなかったと思います。
 じゃあ、忙しいときはまったく本を読めない人間なのかというと、そうでもありません。仕事の合間の10分、20分で読書をすることもあれば、移動の際、電車や飛行機の中ですることもあります。受動的な行為であるテレビを見ることと、能動的な行為の読書を同じにはできませんが、この2カ月間でもちゃっかりテレビドラマは見ています。ちなみにお気に入りは「救命病棟24時」です。須藤理彩も出ていますし。
 そう考えると、読書のするしないは、気持ちの余裕度の違いでしょうか。エドモントンでホテルからスタジアムに移動する際、あるフリーライターの先輩が文庫本を読まれていました。一方の寺田はというと、その日に行われる種目の予習をしていたんだと思います。一生懸命に、資料に目を通していました。
 我々と選手では立場がまったく違いますが、伊東浩司選手も遠征には必ず、文庫本を持参しているといいます。報徳高時代の恩師、鶴谷先生からとにかく読書をすることを薦められ、その習慣がついたようです。
 今日、9月2日は伊東選手と鈴木博美選手との結婚式。おめでとう……では平凡すぎます。今後の人生も充実することをお祈りします。


●9月1日(土)
 昨晩、やや体調不良で仕事がはかどらず(といっても、そこそこ進めました)、今日の午前中までいくつかの仕事が残ってしまいました。午後から外出して、恵比寿で打ち合わせ。昨日まで寺田の方が立て込んでいたので、土曜日なのに無理を言って今日にさせてもらいました。ありがたいことです。相手が大企業だと、なかなかこうはいきません。このWEBサイトとメルマガ・バージョンの今後について話し合いました。もうちょっとすると、変化が見られるかもしれません。とか言ってて、寺田のことだから何も変わらないかも。
 夜はまた、別の用事があって、ちょっと移動しました。その間に時間があったら小出監督の記事を書く予定でしたが、残念ながら書けずじまい。
 ところで、今月のキャッチコピーにある「キアーナ」とはイタリア・フィレンツェ近郊の牛の産地です。カナダのアルバータ牛、三重の松阪牛とともに「世界三大牛」に数えられています。数えたのは陸上担当最古参、TスポーツA山記者で、全世界的にそう認知されているのかどうかは、わかりません。あっ、でも、エドモントンのプレス・レストランで肉を焼いているシェフに「Do you know Matsuzaka beef?」と質問したら、ちゃんと知っていました。だからといって「三大牛」に数える理由にはなりませんが。
 とにかく今月、そのキアーナ牛を食べにS紙N出記者が夏休みをとって行くようなのです。そして「11月に松阪牛を食べて、1年間で世界3大牛制覇」(N出記者)をするのが目標らしいです。11月に松阪方面というと…?



昔の日記
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