2001/7/1
入船ファン必見!!(高岡ファンも)
カネボウ27分台コンビをサンモリッツに直撃取材



 高岡寿成(1万m27分35秒09=日本記録)と入船敏(同27分53秒92)の1万m27分台コンビを、合宿中のスイス・サンモリッツに訪ねた。一昨年のセビリア世界選手権、昨年のシドニー五輪前に市橋有里らが練習拠点とした場所で、ヨーロッパ近隣諸国のナショナルチームや、FILAチームなどもよく練習に使用している。4レーンだが400 mトラックがある。ロードコースの取れる数が少ないのが、唯一の難点だという。トラックから10分ほどの距離のホテルに滞在し、音喜多コーチ、外舘トレーナーと4人の合宿である。
 取材させてもらった7月1日のメイン練習は、高岡が300m×5本(インターバルは100 mジョッグ)を2セット、入船が1万mペース走+1000mという内容。合宿中は同じメニューでの練習がほとんどだったが、高岡が7月6日のパリ・ゴールデンリーグ5000mに出場できる可能性が残っているため、ジュネーブへの移動を翌日に控えたこの日は、別メニューとなった。入船のローザンヌ(7月4日)GPへの出場の可能性は、残念ながらなくなっていた。
 日本選手権翌日に渡欧し、6月14日にヘルシンキの3000m、同18日にプラハの1万mとレースをこなした。ヘルシンキの3000mは気温が10℃前後というトラックレースには寒すぎるコンディションで、高岡が7分57秒12で9位、入船は8分14秒95で13位。プラハではコンディションは風がちょっと強い程度でそんなに悪くなかったが、高岡が28分6秒39で5位、入船は28分44秒57で7位。ラビットは27分30秒の設定だったが、イーブンペースで引っ張ることができない選手だったという。5000mを13分47秒で通過したが、5000mを過ぎて遅れてしまった。
 高岡は過去の実績からして心配するほどの結果ではなく、世界選手権に合わせられそうな流れとも受け取れた(本当はプラハで日本新を狙っていたという)が、4月のアメリカ遠征で好調(27分53秒92)だった入船が、その後、好調を持続できなかった(世界選手権代表にもなれなかった)のが、気になっていた。
 それには「大阪GPの翌週にマメができ、“マメくらいなら”と思っていたら、右脚付け根のリンパが腫れてしまいました。ちょうど、日本選手権までに練習しなければいけない時期に、しっかり練習できなかったことが原因です。そこで1週間でもできていれば、違ったと思うんですが」という事情があったのだ。

 出発前には7月4日のローザンヌ3000m、同6日のパリ5000mにも出場の可能性があったが、プラハ終了時点であとの2大会への出場は困難な状況に。現時点ではパリがどうなるかわからない状況だが、プラハ終了時点でサンモリッツでのトレーニングが主な狙いに変わった。
 サンモリッツの標高は1775m(と、電車のテーブルに描かれているマップに表示してある)。高岡にとっては初の高地トレーニングだ。
「高地は初めてです。これから初マラソンに向けて(高地練習を)どうするかという部分もありますし、アテネ・オリンピックに向けてヨーロッパで拠点とできる場所を探す狙いもありました。(平地と比べ)最初はきつかったですけど、今は慣れてそこそこのタイムで練習できています。設定タイムはもちろんありますが、高地ではあってないようなもの。余裕があれば上げるようにしています。まだ、パリの可能性があるので、レースに出られる準備はしています」
 入船も、高地には対応できていると言う。彼の特徴としては、脚の運びがリズミカルなことが、よく指摘されている。
「リズムがいいときは一定のペースで乗っていけます。思った通りに、上げていけるときもあります。疲れがあったり、バランスが悪かったりするとできなくなり、そう簡単なものでもありませんが、こっち(サンモリッツ)で400 m10本をやったときに、かなりリズムがよくなっていました」

 さて、高岡で気になるのは8月の世界選手権と、その後に予定している初マラソンだ。
「去年(シドニー五輪)7番だったから今年も、とは簡単にはいかないと思います。エチオピアは(前回優勝者枠で)4人出られますし。今回は順位を気にせず、タイムを追った方がいい結果に結びつくのではと思っています」
 現在、マラソンを意識した練習はまったく行わず、世界選手権終了後にマラソン練習に入る。もっとも、高岡の場合、数年間という長いスパンの練習の流れもあり、大きな流れではマラソンを意識したものになっているのかもしれない。
 そして、入船も「世界選手権はしょうがないので、1つ1つ先のことをきっちりやるだけ。夏の練習次第では、冬にマラソンをやる可能性もあります」という。